[出典] "Simultaneous quantification of protein–DNA contacts and transcriptomes in single cells" Rooijers K, Markodimitraki CM [..] Dey SS, Kind J. Nat Biotechnol. 2019 Jun 17. (bioRxiv 2019-01-24)

scDam&T-seqの組み立て
  • Oncode Institute (Utrecht)とUC Santa Barbaraの研究グループは今回、同じ細胞 (単一細胞/sc)について、DamIDによるタンパク質のDNA結合部位の同定と、mRNAシーケンシング  (Transriptomics)を実行可能とする手法を開発し、'scDam&T-seq'と称した。
  • DamIDは、ChIP-seqと異なり、架橋と免疫沈降を必要とせず、アデニンメチル化の累積性を活かして、タンパク質DNA結合の履歴を追跡可能である(DamIDの原理についてWikipediaから引用した下図参照)。DamID
  • scDam&T-seqでは、このDamIDで標識されたゲノムDNA (gDNA)を制限酵素DpnIで断片化した後にアダプターを連結し、ポリアデニル化mRANから逆転写を介して合成した二本鎖cDNAと共に同時にin vitro転写し、線形的増幅し、NGSライブラリを調整する。
scDam&T-seqの効用と事例
  • [効用] 不均一な組織において、scDam&T-seqの実験結果に基づいて、トランスクリプトーム・データから細胞型を同定することで、DamIDデータから細胞型に特異的な遺伝子調節を担うゲノムとタンパク質の相互作用を、一細胞分解能で解析することが可能になる。
  • ゲノムと核ラミナの相互作用またはクロマチンアクセシブリティーとトランスクリプトームとの相関関係を解析
  • ポリコーム群タンパク質 (polycomb-group protein)のpolycomb-repressivecomplex 1 (PRC1) のサブユニットRING1B (RFN2)のDNA結合部位のゲノムワイドランドスケープとトランスクリプトームの相関関係の同定
  • 異なる条件で培養されたES細胞とそのクロマチン・ランドスケープの識別
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