[出典] "Massively parallel kinetic profiling of natural and engineered CRISPR nucleases" Jones Jr SK, Hawkins JA  [..] Finkelstein IJ. bioRxiv 2019-07-09

 University of Texas at Austin, UC Berkeleyおよび高麗大学校の研究グループは、NucleaSeq (nuclease digestion and deep sequencing)を開発し、野生型(wt) SpCas9とSpCas9改変型3種類 (eSp1.1, Cas9-HF1 、Cas9-Hypa)およびwt AsCas12aのDNA切断動態プロファイリングと切断産物の時系列解析を実現し、CHAMP (chip-hybridized association-mapping platform) (*)により各CasヌクレアーゼのDNA結合特異性を解析した。
  • 標的としたDNAライブラリーは、ランダム化したPAMまたはsgRNA対する不整合 (ミスマッチ、挿入または欠失のうち2種類まで)を帯びたバーコード付きDNAで構成した。
  • Cas9改変型は全て、wtCas9と同様のオフターゲット結合プロファイルを示したが、切断特異性向上を見せた。
  • Cas9-HF1が改変型Cas9の中で、PAM遠位のミスマッチに対して、劇的な切断特異性向上を見せたが、Cas9-HF1の結合特異性向上は僅かであった。Cas9改変型の切断特異性向上は、R-ループ伝播後の切断過程が遅いことに依存することが示唆された。
  • 意外にも、細胞内での標的特異性が高いとされていたwtCas12aのin vitro標的特異性がwtCas9と同程度であり、wtCas12aは、その切断速度がwtCas9の10分の1~40分の1と遅いこと、または、その他の細胞に特異的な因子を介して、切断特異性が高まることが示唆された。
  • DNA切断位置と切断産物のオーバーハングのトリミングが、各ヌクレアーゼ、gRNA配列およびgRNAと標的DNAのミスマッチの位置と塩基の種類によって変動した。
  • NucleaSeqとCHAMPから得られた膨大なデータをもとに、オフターゲット切断の機構の解明と高精度なCas9ヌクレアーゼの設計に有用な生物物理学的モデルを構築した。
  • Casヌクレアーゼの高精度化には、Cas12aのような結合特異性とCas9のようなコンフォメーション変化による切断制御を組み合わせていく戦略が有望である。
 参考crisp_bio記事