crisp_bio注: 2019-07-15に、内在ADAR1を合成RNA (arRNA)でガイドし、RNA A-to-I変換を実現するLEAPERがNat Biotechnolに発表された (crisp_bio記事「細胞内在RNA編集酵素のガイドRNAを設計・合成し、高い安全性・効率・精度でのA-to-I RNA編集を実現」参照)。

[出典] "A cytosine deaminase for programmable single-base RNA editing" Abudayyeh OO, Gootenberg JS [..] Zhang F. Science 2019-07-11.

 2017年Scienceにて、アデノシンデミナーゼの一種ADAR2 (adenosine deaminase acting on RNA type 2: Genome Biology, 2004)の触媒活性ドメインをdCas13bに融合しRNAの塩基編集'A-to-I'を実現し、このシステムをREPAIR (RNA editing for programmable A to I (G) replacement) [*]称したF. Zhangが率いる研究グループは今回、ADAR2をシチジンデアミナーゼへと進化させ、RNAの新たな塩基編集'C-to-U'を実現し、このシステムをRESCUE (RNA Editing for Specific C to U Exchange)と称した。
  • RESCUEが加わったことでRNA編集で標的可能な 病原性変異数が倍増し、Cas9による遺伝子編集が困難であった神経細胞でRNA編集も可能になった (今回の実験ではHEK293FT細胞における24サイト/9遺伝子と、合成した24種類の病原性変異を標的として、42%までの置換効率が示されている)。
  • 研究グループは実証実験において、β-カテニン (CTNNB1)のリン酸化残基を標的とするRESCUEを介してWnt/β-カテニンのシグナル伝達を5倍にまで活性化し、HEK293T細胞とヒト臍帯静脈内皮細胞 (HUVECs)の成長を亢進した。この際、RNAの編集結果はDNAの編集結果と異なり一過性のため、癌化のリスクが低いことを期待できる。
  • また、アルツハイマー病の病原性遺伝子変異とされるAPOE4の2箇所のCをUに置換することでAPOE4を無害なAPOE2へと変換可能なことを示した (置換効率は5%と12%)。
  • さらに、RESCUEはアデノシン・デアミナーゼの活性も維持していることから、Cas13bのpre-crRNAアレイのプロセッシング活性を利用して、C-to-U gRNAとA-to-I gRNAを生成することで、RESCUEによるA-to-IとC-to-Uの多重置換を実現した。
参考crisp_bio記事