[出典] "Improving Editing Efficiency for the Sequences with NGH PAM Using xCas9-Derived Base Editors" Liu X, Li G [..] Wang L, Huang X. Mol Ther Nucleic Acids. 2019-07-12.
Broad研のDavid R. LiuらがSpCas9から指向型進化法PACEを介して、PAMとしてNGを認識するxCas9 (Nature 2018; [*1;*2])を作出し、xCas9に基づく一塩基編集因子xBEs (xBE3とxABE)によってSpCas9に基づくBEsから標的範囲を広げたが、編集効率は低かった [*3]。
曁南大学 (Jinan University)、上海科技大学、 广州医科大学などの研究グループは今回、N末端にbiparticle NLS (BPNLS)にさらにバクテリオファージMuのGamタンパク質を融合 [*4]したxBEs (BPNLS-Gam-xBE3とBPNLS-xABE)を作出し、HEK293細胞の"NGN"PAMを帯びた複数遺伝子の編集効率がいずれもSpCas9をベースとしたBEsを有意に上回ることを示した。
病因変異のモデリングと修復
- xBEsによってHEK293細胞においてNGH (H: A/T/C) PAMを伴う病因変異14種類を誘導し、また、多重病因変異誘導も実証した。
- HEK293細胞において、Atp7b遺伝子を標的とするxBEsによってそれぞれウィルソン病病因変異2種類 (T1220MとT1033A)の誘導と修復を実証した。
- 廃棄された3前核胚においてBPNLS-Gam-xBE3による病因変異誘導を実証した。C-to-T変換効率は60%であり、4,234ヶ所のオフターゲット部位 (シード領域2ミスマッチとシード領域以外での4塩基ミスマッチ)での編集は発生しなかった。
[*] 関連crisp_bio記事
- [*1] 2018-03-02 xCas9:PAMの拡張とオフターゲット抑制を両立
- [*2] 2019-01-25 SpyCas9の高精度な変異体‘xCas9’の構造基盤
- [*3] CRISPRメモ_2018/12/16 [第2項] PAMを拡張したxCas9によるイネゲノム編集
- [*4] 2017-09-05 塩基編集法(BE)第4世代へ:BE1, BE2, BE3からBE4へ - BE3-Gam/BE4-Gam: バクテリオファージ Mu由来Gamタンパク質でBEに伴うindelsを抑制
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