[出典] "A CRISPR-Cas12a-derived biosensing platform for the highly sensitive detection of diverse small molecules" Liang M, Li Z, Wang w [..] Tan GY, Zhang LX. Nat Commun. 2019-08-14.

 Cas12aは、ゲノム編集に続いてDNAの高感度検出 (アトモル濃度)へと応用が広がってきたところで、華東理工大学や中国科学院微生物研究所を中心とする中国にデンマークと米国が加わった研究グループがさらに、低分子の高感度検出へと応用を広げた。

 今回の責任著者Li-Xin ZhangとGao-Yi Tanは、先行研究(Sci Adv 2018  [1])にて、バクテリアが低分子から身を守る機構を利用して低分子の高感度な検出システムを開発していた。すなわち、低分子結合によってコンフォメーションを変えることでオペレータ配列への親和性を変えるバクテリアのallosteric transcription factors (aTFs)に基づいて、低分子を認識してdsDNAのシグナルへと変換するaTF-based nicked DNA template–assisted signal transduction system (aTF-NAST)を開発し、DNA検出法を介して、防腐剤として利用される4-ヒドロキシ安息香酸、疾患マーカーとして利用される尿酸、テトラサイクリン系抗生物質の高感度検出を実現した。

 研究グループは今回、先行研究で開発したaTF-NASTは反応・検出に比較的長時間を要し、利便性が低く、コストも要するとして、CRISPR-Cas12aのssDNA切断活性と、aTFsの低分子およびdsDNAへの結合とを組み合わせることで、aTF-NASTに替わるTriple-3S (simple, sensitiveおよびspeed)で低コストなハイスループット低分子検出法を開発し、CRISPR-Cas12a and aTF mediated small molecule detectorに因んでCaT-SMelorと命名した (システムのワークフローについて原論文Fig. 1引用左下図参照;実証例について右下図の原論文Fig. 3引用右下図参照)

Schematic diagram of the CaT-SMelor Detection of target small molecules by CaT-SMelor

 構造が類似しているアナログの中で尿酸とp-ヒドロキシ安息香酸を含むナノモル濃度の多様な低分子のin vitro検出が可能なことを実証した。さらに、CaT-SMelorによりヒト血清サンプルから尿酸を直接定量し、HPLC法やBeckman Coulterの臨床化学分析装置からの結果と整合することを確認した。

参考文献:[1] "Harnessing a previously unidentified capability of bacterial allosteric transcription factors for sensing diverse small molecules in vitro" Cao J, Yao Y [..] Li S, Wang W, Zhang L. Sci Adv. 2018 Nov 28;4(11):eaau4602.

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