[出典] "Optimization of AsCas12a for combinatorial genetic screens in human cells" Sanson KR, DeWeirdt PC [..] Doench JG. bioRxiv. 2019-08-28.

 CRISPRシステムによる多重編集のために、Cas9の場合は標的ごとにCas9のガイドとなるsgRNAs (crRNA+tracrRNA)の発現カセットを用意する必要があるが、Cas12aの場合は、pre-crRNAを多重に組み込んだCRISPRアレイの発現カセットを用意すれば十分である。Cas12a単独で、CRSPRアレイからCas12aをガイドするcrRNAを生成するからである。Broad Institute、Tango Therapeuticsなどの研究グループは今回、ヒト細胞を対象とするプール型スクリーンに向けて、単一のレンチウイルスベクターで導入可能なAcidaminococcus由来Cas12a (AsCas12a)-crRNAの最適化を試みた。
  • Cas12aの最適化:野生型のCas12aに単一のNLSまたはNLS2コピーを連結した1xNLS-Cas12a、2xNLS-Cas12a、および、変異導入により活性を向上したAsCas12a変異体 [1]にNLS1コピーを連結したenCas12a、ならびにSpCas9による遺伝子編集活性を、必須遺伝子を主とする43遺伝子を標的とする12,472種類のガイドのライブラリ (タイリング・ライブラリ)を構築して、A375細胞において評価した。その結果、Cas9に同等の活性を示した2xNLS-Cas12aとそれに次ぐ活性を示したenCas12aについて解析を続けた。
  • ガイドの最適化タイリング・ライブラリのデータに基づく機械学習を比較し、深層学習モデルSeq-DeepCpf1 [2]を選択し、2xNLS-Cas12aとenCas12aのオンターゲット活性スコアを算定した。オフターゲット活性のスコアについては、最も活性なガイド300種類に対して、1ミスマッチのガイド19,512種類と2ミスマッチのガイド20,000のライブラリによるスクリーンの結果に基づいて、標的選択性が低いガイドの判定するモデルも構築した (オンターゲットとオフターゲットの組み合わせによるAsCas12aガイドの選択機能は、GPP sgRNA Disginerから公開予定)
  • アレイの最適化:続いて、レンチウイルスでのデリバリーの課題である反復配列の組み換えやベクタのシャフリングを抑制することを目的として、CRISPRアレイおけるDRとして35,683種類を評価し、高効率な38種類を選定し、その配列の特徴も見出した。
 性能実証
  • これまでに合成致死の関係にあることが同定された12組の遺伝子ペアを標的として、各遺伝子に対して20種類のガイドおよび3種類のDRsを組み合わせて、A375細胞とOVCAR8細胞においてスクリーンを行い、合成致死ペアの同定にSaCas9およびSpCas9と同等以上の性能を示すことを確認した。
  • A375細胞で高発現している細胞表面マーカCD47、CD63およびB2Mの3種類をモデルとして、効率的トリプルノックアウトが可能なことも示した。
  • enCas12aはオンターゲット活性が高く、2xNLS-Cas12aと比較するとPAM配列がより単純という特徴を帯びている (標的可能範囲が広い)ことから、利便性が高い。
 引用crisp_bio記事
  1. enCas12a:2019-02-06 CRISPR-Cas12aの拡張続く
  2. Seq-DeepCpf1CRISPRメモ_2018/02/04 [第3項] CRISPR-Cpf1 gRNA活性予測精度を、深層学習(deep learning)により向上
 Cas12aによるゲノム編集関連crisp_bio記事
 Cas12aのコラレラルssDNA切断活性の利用関連criso_bio記事