[出典] ”Structural insight into multistage inhibition of CRISPR-Cas12a by AcrVA4” Peng R, Li Z, Xu Y [..] Shi Y, Gao GF.PNAS 2019-08-29.

背景
 Lachnospiraceae bacterium Cas12a (LbCas12a)によるヒト細胞におけるゲノム編集がanti-CRISPRタンパク質AcrVA4によって阻害されることが報告され、続いて、生化学的解析と構造解析からその分子機序と構造基盤の解明も進んできた [1-3]。

成果概要

  • University of Chinese Academy of Sciences, CAS Institute of Microbiologyなどの中国の研究グループは今回、改めてクライオ電顕法によりLbCas12a-crRNA: AcrVA4複合体の構造を再構成し、多段階の過程からなり先行研究の結果とも整合する分子機序を提案した (原論文Fig. 6の分子機構モデル図参照)。
  • LbCas12a-crRNA-AcrVA4複合体構造には~90%のform A (化学量論比 2:1)と~10%のform B (化学量論比 2:1)の2種類が見られた (それぞれ3.25 Åと4.10 Åの分解能の構造がEMD-0704/6KL9とEMD-0705/6KLBとしてEMDB/PDBに登録された [2019-08-31時点では非公開])。
3段構えの阻害
  1. AcrV4は、LbCas12a-crRNA複合体が標的dsDNAに結合前に、crRNAの標的dsDNAへの結合を不可能とするコンフォメーションに固定する。
  2. AcrV4は、LbCas12a-crRNAがdsDNAに結合しR-ループが形成された状態でこの複合体に結合し、LbCas12aがdsDNAを切断する前にdsDNAを複合体から遊離させる。
  3. LbCas12a-crRNAがdsDNAを切断後に、LbCas12aに結合し、LbCas12aの活性を封じ込める (酵素リサイクリングを阻害する)。
他のAcrsによる標的Casシステムの阻害機序
  • AcrIF1は、サーベーランス複合体のコンフォメーションを局所的に改変してスペーサと標的配列の 塩基対合を立体障害する。
  • AcrIF2, AcrIF10, AcrIIA2およびAcrIIA4は、dsDNAの構造を模倣して、dsDNAのエフェクタ複合体への結合を阻害する。
  • AcrVA1は、crRNA (スペーサ)の3’末端切断により障害する。
  • AcrVA5は、Cas12aのPIドメインをアセチル化することで、dsDNA結合を立体障害する。
[引用crisp_bio記事]