[出典] ”Rapid Naked-Eye Detection of Grapevine Red-Blotch Viral Infection Using a Plasmonic CRISPR Cas12a Assay” Li Y, Mansour H, Wang T, Poojari S, Li F. Anal Chem. 2019-09-03

 グレープバインレッドブロッチ関連ウイルス (GRBV)は1ヘクタールあたり年に2,231-68,548 USDの経済的損失をもたらすとされており、葡萄畑でも簡便に利用できる高感度なウイルス感染検出法が求められている。

 四川大学とカナダBrock Universityの研究グループは、この環状ssDNAウイルスの感染を、Cas12aのコラテラル一本鎖DNA切断活性 (ssDNase)を介した'シグナル増幅'に、さらに、金ナノ粒子の表面プラズモン共鳴を介した'シグナル増幅'を加えることで、金ナノ粒子コロイド溶液の変化により、目視で判定可能なことを、葡萄畑から採取したサンプルで実証した。
  • Cas12a-crRNAは標的に結合すると非選択的にssDNAを切断するコラレテラルssDNase活性を帯びている。そこで、DETECTRをはじめとするレポータRNAのコラテラル切断を標的核酸の増幅装置として利用する高感度な核酸検出法が開発されてきている [1]
  • 一方で、金ナノ粒子コロイド溶液の色の変化とDNAのハイブリダイゼーションを対応させることが可能なことがNorthwestern UniversityのMirkinらによって1996年にすでに報告されていた [2]。すなわち、非相補的な2種類のオリゴヌクレオチド (DNA断片)で修飾した2種類の金ナノ粒子が混在するコロイド溶液に、それぞれに相補的な配列を粘着末端として両端に帯びたDNA二重鎖を混ぜると分散していた2種類の金ナノ粒子が接近・凝集することで、コロイド溶液の色が暗赤色から直ちに紫色へと変化する現象が報告されていた。
  • 研究グループは、Mirkinらのフォーマットに準拠して、非相補的な2種類のssDNA (論文中ではArm-AとArm-Bとされている)で修飾した20 nm径の金ナノ粒子と、論文中でSと表記されているリンカーとなるssDNAを用意した。このSは、ウイルスDNAを検知したCas12aによってコラテラル切断されるが、それ以外では一本鎖として安定している。
  • 安定したSには2種類の金ナノ粒子がそれぞれを修飾しているssDNAを介して結合し互いに近接し、Sがコラテラル切断されると2種類の金ナノ粒子はコロイド溶液内に分散したままとなり、それに応じて、コロイド溶液は、目視可能な、青色と赤色を呈する。
[参考crisp_bio記事と論文]
  1. 2019-08-16 Cas12aを介して核酸と抗体の超高感度検出を実現 (今回のAnal Chem.論文と同一グループによるbioRixへの投稿を紹介)
  2. "A DNA-based method for rationally assembling nanoparticles into macroscopic materials" Mirkin CA, Letsinger RL, Mucic RC, Storhoff JJ. Nature. 1996 Aug 15;382(6592):607-9.