[出典] "CRISPR-mediated live imaging of genome editing and transcription" Wang H [..] Qi LS. Science 2019-09-05.  <<< bioRxiv. 2019-08-14
# 本記事は、bioRixv版に準拠したcrisp_bio記事「CRISPR LiveFISH: 染色体再配列のリアルタイム可視化を、初代培養細胞をはじめとする多様な生細胞 (live cell)内で実現」を改訂し、Science版独自のツール"Dual CRISPR DNA/RNA LiveFISH"を加えた内容となります。
[# 2020-01-17追記] [SPOTLIGHT] Put on Your Para-spectacles: The Development of Optimized CRISPR-Cas13-Based Approaches to Image RNA Dynamics in Real Time. Davis BJ, O’Connell MR. Mol Cell. 2020-01-16.

 CRISPR LiveFISHは、蛍光色素で5'末端を標識したcrRNAとtracrRNAの二重鎖gRNA (蛍光gRNA)とdCas9からなる蛍光RNP (fRNP)によりgRNAsが認識・結合した標的を可視化し、in situ FISHで必要なDNA変性、in vitroで蛍光標識したdCas9とsgRNA (CASFISH)は固定化組織限定、といった双方の弱点を解消した高精度かつ生細胞で染色体の動態を高精度で追跡可能としたツールである。

予備実験
  • U2OS細胞に、第3染色体 (Chr3)の反復配列 (Chr3q29, ~500 repeats)を標的とするdCas9とCy3標識gRNAからなるfRNPをエレクトロポーレションし、fRNPに組み込まれたgRNAがRNaseに分解されることなくfRNPが標的に迅速・精確・安定に結合することを確認した。
実証実験:1〜2遺伝子座の可視化
  • 健常者ならびに13トリソミー (パトウ症候群)患者由来の出生前羊水細胞に、第13染色体 (Chr13)の反復配列(Chr13q34, ~350 repeats)を標的とするdCas9-Atto565標識gRNAを導入し、迅速可視化と反復配列の定量化を実現した。
  • U2OS細胞と初代ヒトT細胞において、異なる蛍光色素を利用した2種類のfRNPsの併用により、Chr3とChr13の反復配列の同時可視化を、直交したdCas9sやsgRNA/RNAアプタマー/RNA結合タンパク質の系よりも簡便に、実現した。
実証実験:CRISPR-Cas9による二本鎖DNA切断 (DSB)のリアルタイム観察
  • DNA損傷応答タンパク質53BP1の短縮型を蛍光タンパク質Appleで標識したU2OS細胞においてDSB過程の可視化を実現した。
  • Chr3上のPPP1R2遺伝子を標的とするRNPs (Cas9/gPPP1R2)と、PPP1R2の36kb上流に位置する反復配列部位Chr3q29を標的とするfRNPs (Cas9/A488-gChr3) を用意し、fRNPsを導入後にCas9/gPPP1R2を導入し、53BP1のChr3q29への凝集と遊離を追い、DSBの発生と修復の可視化を実現した。
実証実験:染色体転座の可視化
  • 53BP1を免疫染色したH2OS細胞に、Chr3上のPPP1R2とChr13上のSPACA7を標的とするRNPsと、Chr3q29とChr13q34 (SPACA7の切断部位から82 kb)が標的とするfRNPsを送達し、染色体の転座に至るPPP1R2SPACA7の動態をリアルタイムで観察し、シーケンシングを介して転座したセグメントも特定した。
実証実験:Dual CRISPR DNA/RNA LiveFISH
  • dCas9を介したDNA LiveFISHに、dCas13d(dCasRx) [*]を介したRNA LiveFISHを組み合わせることで、DNAとRNAの同時リアルタイム観察を実現した (* 2018-03-17 これまでで最小かつヒト細胞で活性なCas13dの同定と解析2報. Salk研;Arbor Biotechnologies/NCBI)
  • テトラサイクリン応答因子 (TRE)の上流にLacO 反復配列アレイを帯び、下流にMS2反復配列アレイを帯びたU2OS 2-6-3細胞にdCas13d を発現させておき、LacOアレイを標的とするfRANP (dCas9/A488-gLacO)とMS2アレイを帯びたRNAを標的とするgMS2とを送達し、LacOアレイDNAと、Doxにより転写が始まるMS2 mRNAの動態を共にリアルタイムで観察した (原論文 Figure 4参照)。