1. [論説] CRISPRaスクリーンによりマウスESCsの神経細胞への分化を促進する転写因子とDNA結合タンパク質を同定し、マウス胚由来線維芽細胞 (MEFs)から神経細胞へのダイレクトプログラミングへと展開
[出典] [Editorial Commentary] CRISPR-activation-based screen reveals neuronal fate promotion by polycomb repressive complex 2 during direct reprogramming. Wolfram T, Tursun B. Stem Cell Investig. 2019-09-12.
  • ESCsにおける2,428種類の転写因子を標的とする55,561 sgNRAsに基づくCRISPRaスクリーンを経て、ポリコーム抑制複合体PRC2のサブユニットEzh2と転写因子 (Ngn1, Brn2またはMecom)の組み合わせにより、MEFsから神経細胞へのダイレクトプログラミングを実現
2. CRISPR/Cas9により、初代培養神経細胞におけるシナプスタンパク質のシングルセル分解能のイメージングを実現
[出典] Imaging endogenous synaptic proteins in primary neurons at single-cell resolution using CRISPR/Cas9. Matsuda T, Oinuma I. Mol Biol Cell. 2019-09-11
  • 兵庫県立大学の研究チームは今回、CRISPR/Cas9をNucleofection™し、 有糸分裂後の神経細胞において、シナプス前と後のタンパク質、シナプトフィシンとPSD-95を、HDR過程を介してそれぞれEGFPとmCherryで標識することに成功した。これによって、超解像顕微鏡法による固定細胞内での局在観察と、全反射照明蛍光顕微鏡による生細胞内での樹状突起軸に沿った動態観察を実現した。
3. CRISPR/Cas9機能喪失スクリーンにより、レゴラフェニブ (スチバーガ)がHippoシグナル伝達パスウェイを介して肝細胞癌(HCC)に対して効用を示すことを同定
[出典] CRISPR Loss-of-Function Screen Identifies the Hippo Signaling Pathway as the Mediator of Regorafenib Efficacy in Hepatocellular Carcinoma. Suemura S, Kodak T [..] Takehara T. Cancers 2019-09-13
  • 大阪大学の研究グループは今回表題スクリーン (原論文Figure 2引用下図参照)から、その欠損がレゴラフェニブ耐性をもたらす候補遺伝子31種類を同定し、トップにランクされたLATS2とそのパラログLATS1に注目して詳細な解析を続けた。Regorafenib
  • 検証実験で、LATS2阻害がHippoシグナル伝達パスウェイのメディエータYAPを脱リン酸化 (活性化)し、その結果、抗アポトーシス性のBcl-xLならびに多剤耐性輸送体ABCB1の発現が亢進することを確認した。また、レゴラフェニブに感受性を示さないHCC細胞がYAPまたはBcl-xLの阻害によって感受性を示すようになることも見出した。
  • さらに種々のHCC細胞株において、レゴラフェニブの効用がYAPまたはYAPの下流の遺伝子の発現と逆相関することも見出した。
4. ドキシサイクリン(Dox)存在下で不活性状態を維持するCRISPR-SpCas9システムを開発し、SpCas9の活性の時間的制御を実現
[出典] Doxycycline dependent self-inactivation of CRISPR-SpCas9 to temporally regulate on- and off-target editing. Kelkar  A [..] Neelamegham S. Mol Ther 2019-09-12
  • State University of New YorkとRoswell Park Cancer Instituteの研究グループは、Dox非存在下でsgRNAを発現するCRISPR/Cas9システムを構築し、Dox投与を介してその活性を阻害することでオンターゲット活性を維持しつつオフターゲット編集を抑制可能なことや、遺伝子導入が困難な白血球の時間依存性遺伝子編集に活用可能なことを示した。
5. イネにおいて開発されたポリシストロニックtRNA-gRNAに基づくCRISPR/Cas9システム (PTG/Cas9)により、シロイヌナズナにて、安定かつ容易に、PCRで検出可能な変異を誘導
[出典] A simple and reliable method for creating PCR‑detectable mutants in Arabidopsis with the polycistronic tRNA–gRNA CRISPR/Cas9 system. Hui L [..] Xu M, Fu A. Acta Physiol Plant. 2019-09-13
  • 西北大学の研究グループが表題の手法を利用して、PTOXをはじめとする5種類の遺伝子を対象として、3世代で、標的遺伝子に大規模なホモ接合型欠損変異体を作出