[出典] Visualizing RNA dynamics in live cells with bright and stable fluorescent RNAs. Chen X, Zhang D, Su N [..] Zhu L, Yang Y. Nat Biotechnol. 2019-09-23

 上海の華東理工大学と神経科学研究所を主とする研究グループは、米国・オランダ産とは一味違うRNA Pepperの生産を開始した。

新たな蛍光色素と新たなRNAアプタマー
  • 一GFPの発蛍光団と同様に溶液中では蛍光を発しないが分子内運動が制限されると強力に蛍光を発する色素 (4-((2-Hydroxyethyl)(methyl)amino)-Benzylidene)-Cyanophenylacetonitrile (HBC)を合成した。
  • SELEX法により、HBCと結合親和性が高くHBCの蛍光を最も強力に誘導するアプタマーを作出し、さらに、最適化し、RNAアプタマー 'Pepper'を開発した。
  • こうして得られたHBCとPepperとの複合体は530 nmで発光極大に達したことからPepper530と称し、Pepper530による細胞内でのノンコーディングRNAsとmRNAsの可視化を実証し、また、Pepper530がRNAsの動態に影響を及ぼさないことを確認した。
mRNAとタンパク質の発現レベルの同時測定
  • 青色蛍光タンパク質 (BFP)をコードする配列の3'UTRに4連のPepper530を挿入しLightOnシステムを介した青色光照射による遺伝子発現誘導実験を行った。
  • mRNAレベルとBFPタンパク質レベルの相関をCOS-7や293Tといった細胞株加えて種々の癌細胞株で解析し、両者の相関関係が基本的にはミカエリス・メンテン式に従うことを見出した。
  • しかし同時に、mRNAの翻訳効率が細胞間で大きく変動し、細胞内のタンパク質レベルが翻訳の効率に支配されることを示唆する結果を得た [2]。
  • また、癌細胞株では、mRNAとタンパク質のレベルの相関が極めて弱いことも見出した。
Peppers
  • Pepper530に加えて、シアン色 (485 nm)から赤色 (620 nm)までをカバーする一連のHBCアナログを作出してPepper485からPepper620までPepperの品揃えを充実し (原論文Fig. 2  参照)、sgRNAのループ2またはテトラループに種々のPepperを挿入することで、dCas9-GFPを介した多色CRISPRディスプレイを実現した。
細胞内動態追跡と微細構造可視化
  • Pepper-MS2とtdMCP-蛍光タンパク質 (BPFまたはmCherry)との組み合わせによるmRNAとタンパク質の間のテザリングのリアルタイム追跡や、Peppersの中でも特にPepper620によって構造化照明顕微鏡 (SIM)を介した細胞の微細構造の可視化も可能なことを実証した。
[参考crisp_bio記事]