#crisp_bio注: 2019-10-08 論文取り下げ (Retraction Note: CCR5-∆32 is deleterious in the homozygous state in humans. Wei X , Nielsen R. Nat Medicine. 2019-10-08.
# crisp_bio注: 2019-10-05 反証bioRxiv投稿とmedRxiv投稿へのリンクを追加 [3-4]
 Nature Medicine 2019-06-03に発表された "CCR5-∆32 is deleterious in the homozygous state in humans"[1]の論文に対しては、当初からTwitterなどで問題点が指摘されていたが [2]、9月28日に原論文の責任著者の責任著者Rasmus Nielsenが問題を認める趣旨のツイートを投稿した(以下、参照)。[1] CRISPRメモ_2019/06/04 [第1項] HIV予防法とされているCCR5-∆32変異は、76歳までに死亡する率を高める
[2] "Major error undermines study suggesting change introduced in the CRISPR babies experiment shortens lives" Robbins R. Stat News. 2019-09-27.
[3] "No statistical evidence for an effect of CCR5-Δ32 on lifespan in the UK Biobank cohort" Maier R, Akbari A et al.bioRxiv. 2019-10-03.
[4] "Association between CCR5-Δ32 homozygosity and mortality in 37,650 participants from three U.S.-based cohorts" Jiang X, Huang H, Grodstein F, Kraft P. medRxiv. 2019-10-03.

 CRISPR技術を巡る論文の検証については、「マウスにおける大量のCRISPR-Cas9オフターゲット編集発生」を巡る事例 [3]が記憶に残っているところであるが、最近も、次のような事例があった [4]。CRISPR技術によってコンディショナルノックアウトマウスの作出効率16%を達成したとする2013年Cell誌論文に対しては、世界各国の20機関120研究室が共同で検証し、2019年Genome Biology誌に作出効率は0.87%止まるとする論文を発表している [**]。意図的な捏造に限らず研究論文の弛まぬ検証には膨大な資源が費やされることになるが、科学技術の発展に必要なコストであり、また、生データの共有により、検証のサイクルが早まることが望まれる。
[3] 2018-03-28「マウスにおける大量のCRISPR-Cas9オフターゲット編集発生」論文を巡る論争結着(2018-03-31更新)
[4] 2019-08-27 コンディショナルノックアウトマウス作出法を検証 - 20機関120研究室が協力

 CRISPR技術以外の分野でも、2016年Nature Neuroscience刊行Magneto2.0 (神経系を磁気制御する合成イオンチャネル)の論文に対して、2019年9月30日に同誌から、再現性が無いとする3論文と、原論文の著者からの反論が刊行されたところである。また、2018年11月にNature誌から刊行されたAPP gnecDNAs説について2019年夏に熱い応酬が続いた