2017年04月

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/24)
  • Corresponding authors: 外川内亜美(鹿児島大学);白水美香子(理化学研究所)
  • メロン(Cucumis melo L.)由来のククミシン(cucumisinEC 3.4.21.25)は、前駆体から88残基/10 kDaのプロペプチドが除去されて、3つのドメイン(スブチリシン様触媒ドメイン、プロテアーゼ関連ドメインおよびC末端フィブロネクチン-Ⅲ-様ドメイン)からなる621残基/67 kDaのタンパク質へと成熟する。ククミシンはこのプロペプチド自身によって阻害されると報告されている。研究チームは今回、成熟ククミシンとプロペプチドの複合体構造を分子置換法により分解能1.95 Åで決定した(参考図はPDB登録の複合体構造とククミシン構造)。
  • 41110001
    • 複合体におけるプロペプチドには、4本のストランドからなる逆平行βシート、2本のヘリックスおよびC末端領域のストランドで構成されるα-βサンドイッチモチーフのドメインが存在した。
    • プロペプチドのβシートが、疎水性結合と27の水素結合を介して、ククミシン表面の2本の平行ヘリックスに結合し、C末端ドメインがペプチド基質として活性部位のクレフトに結合していた。阻害アッセイは、プロペプチドC末端の7残基はククミシンの活性を阻害しないことを示唆した。
    • [成熟化モデル] 成熟ククミシンのN末端とプロペプチドのC末端の間の解離しやすい結合が活性部位のクレフトに位置することで、自己開裂が起こり、N末端が〜16 Å変位してヘリックスを形成し、プロペプチドは活性化しているククミシンを含む他のプロテアーゼで分解される。

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/24)

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/24)
  • Corresponding author: 清水謙多郎(東京大学)
  • 尾部アンカー型(tail-anchored、TA)タンパク質はC末端側に膜貫通ドメイン(TMD)領域をもち、N末端が細胞質内に位置するタンパク質の総称であり、膜タンパク質の3-5 %を占めるが、小胞体膜への挿入機構が独特である。TAタンパク質はシグナル配列がリボソームから細胞質へと出る前に翻訳が終結するため,ほとんどの膜タンパク質の膜挿入機構であるSRP(signal recognition particle,シグナル認識粒子)、SRP受容体、膜透過装置トランスロコンによる小胞体膜への挿入は物理的に不可能であり,トランスコロン非依存の膜挿入機構の解明が進められている(参考図参照)。
41090001
  • これまでにアミノ酸配列から膜タンパク質を同定する解析システムが多数開発されてきたが、TAタンパク質を他の膜タンパク質と識別・同定するには、TMD予測プログラム(例 TMHMM)とシグナル配列予測プログラム(SignalIPTargetP)を組み合わせる必要があった。研究チームは今回、隠れマルコフモデル(HMM)を、実験的に検証されたTAタンパク質の配列データと、TAタンパク質以外の膜タンパク質の配列データとで学習させることにより、アミノ酸配列から直接TAを同定するシステム“TAPPM”を開発した。TAPPMは、高精度であり、かつ、高速でゲノムワイドでのTA同定が可能である。
  • “TAPPM”システム入手先:A HMM-based predictor for TA proteins

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/23)
  • トムソン・ロイター毎年恒例の「トムソン・ロイター引用栄誉賞」が発表された。この賞は、学術論文の被引用関係の分析に基づいており、受賞者の中からノーベル賞受賞者が出ていることで知られている。
  • 日本からの2016年トムソン・ロイター引用栄誉賞受賞者
    • 生理学・医学分野 
      「プログラム細胞死1(PD - 1)およびその経路の解明により、がん免疫療法の発展に貢献」 
      本庶 佑 京都大学客員教授 
      [注] 2014年ウィリアム・コーリー賞を共同受賞したGordon J. FreemanArlene H. Sharpeも共同受賞。
    • 化学分野 
      「がん治療における高分子薬物の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見」 
      前田 浩 崇城大学DDS研究所特任教授・熊本大学名誉教授 
      松村保広 国立がん研究センター先端医療開発センター新薬開発分野分野長 
      [注] 「マウスおよびヒト細胞におけるゲノム編集手法CRISPR-cas9の適用」にて、G. M. ChurchとF. Zhangも今回受賞

(創薬等PF・構造生命科学ニュースウオッチ 2016/09/23)
  • 2016年9月16日に、米国保健福祉省(Health and Human Services, HHS)とNIHは、臨床試験の実施と結果のデータベース“ClinicalTrials.gov”への登録を法的必要条件とする制度改革を発表した。今回発表された“Clinical Trials Registration and Results Information Submission”の710頁にわたるFinal Ruleは、2017年1月18日に発効する。
  • NIHは同時に、NIHの資金が部分的にあっても入った臨床試験は結果を含めて全てClinicalTrials.govに登録することを義務付ける関連文書“NIH Policy on the Dissemination of NIH-Funded Clinical Trial Information”も発表した(こちらは26頁)。
  • [背景] 
     臨床試験の手法と結果をClinicalTrials.govに登録する制度は2007年に設けられ、これまでに225,000件以上登録されてきた。しかし、これまでの調査で、臨床試験が登録されないままFDAに認可された薬剤、結果の登録が不十分な事例(‘p-hacking(*)データの登録、臨床試験初期に脱落した薬剤候補のデータのほとんどが未登録、など)が多々存在することが明らかにされており、臨床試験の透明化が求めらてきた。 
    (*) 生データの解析を工夫し、ポジティブな(統計的に有意な)結果のみを報告する行為。
  • [ルール改訂の目的(Final ruleのサマリーから)] 
     患者によるそれぞれの病状に適合する臨床試験探索を支援;臨床試験の設計の質向上;不成功または重篤な副作用を伴う臨床試験の繰り返しを防止;エビデンスに基づいた臨床ケアの促進;薬剤/医療機器開発プロセスの効率化;臨床研究の質の向上;一般社会における臨床試験に対する信頼性構築
  • ルール発効後は、臨床試験への患者登録初回から21日のうちに、臨床試験の計画と統計解析の手法を登録し、試験開始後にプロトコル変更があればそれも登録し、いわゆるネガディブデータも含めて全ての結果を登録していくことになる。また、NIHの資金が投入された場合は、通常健常者の小規模な集団を対象とする第1相試験から登録することが求められ、ルールに従わなかった場合はNIHの資金は引き上げられる。

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