2018年02月

1.ゲノムワイドCRISPR-Cas9スクリーンとin vivoスクリーンにより、急性骨髄性白血病(AML)の新たな治療標的を同定
  • "Genome-wide CRISPR-Cas9 Screen Identifies Leukemia-Specific Dependence on a Pre-mRNA Metabolic Pathway Regulated by DCPS" Yamauchi T, ~ Maeda T. Cancer Cell. 2018 Feb 8.
  • スクリーンにより癌抑制遺伝子Trp53が機能しているマウスAML細胞において、mRNA脱キャッピング・スカベンジャー(mRNA decapping enzyme scavenger; DCPS)遺伝子がAML細胞生存に必須であることを同定。DCPS阻害剤RG3039はAML細胞に毒性を示すが、正常血液細胞を障害せず、DCPSの機能喪失β両アレル変異を帯びたヒトには血液学的異常が見られないことから、DCPSはAMLの治療標的。
2.[レビュー]CRISPR/Cas9によるアピコンプレクサ類寄生虫遺伝子編集の進展
  • "New and emerging uses of CRISPR/Cas9 to genetically manipulate apicomplexan parasites" Di Cristina M, Carruthers VB. Parasitology. 2018 Feb 21:1-8
  • 主としてPlasmodium sppとToxoplasma gondii研究への応用、T. gondiiCryptosporidium sppのノックアウトスクリーニング、およびアピコンプレクサ類寄生虫への応用例がまだないCRISPR/Cas9新技術をレビュー
3.Shugoshin-like 1(SGOL1)は、ソラフェニブを処方した肝細胞癌(HCC)における創薬(ドラッガブル)標的である
  • "Genome-wide CRISPR screen reveals SGOL1 as a druggable target of sorafenib-treated hepatocellular carcinoma" Sun W, ~ Zheng S. Lab Invest. 2018 Feb 21.
  • その機能損失がHCCにソラフェニブ耐性をもたらす遺伝子をゲノムワイドCRISPRスクリーンにより同定;210人のHCC患者の予後などとも整合
4.SgRNAと標的サイトのペアワイズ・ライブラリー・スクリーンによりヒト細胞におけるStaphylococcus aureus Cas9の特異性を体系的に分析
  • ”Pairwise library screen systematically interrogates Staphylococcus aureus Cas9 specificity in human cells” Tycko J, ~ Hsu PD. bioRxiv. Posted February 22, 2018.
  • スペーサー、sgRNA、ランダム化バーコード、標的配列および誤り訂正ハミング符号用配列のコンストラクとからなるライブラリーを設計;73のsgRNA グループについて、88,692組のsgRNAと標的配列のペアによるHKE293FT細胞におけるゲノム編集結果を分析;ランダム化バーコード は正しく合成されたコンストラクトの選別に利用
5.CRISPR関連タンパク質の網羅的探索
  • "Towards comprehensive characterization of CRISPR-linked genes" Shmaov SA, ~ Koonin EV. bioRxiv. Posted February 22, 2018.
  • CRISPR-Casシステムのコアになるタンパク質に加えて、バクテリアやアーケアのゲノム上にCRISPR-Casと共存するタンパク質遺伝子が散在する。NCBIのEV Kooninらは今回、新たに定義した'CRISPRicity'の計算から、これまで知られていなかった80種類のCRISPR-Cas相関遺伝子を同定した。
6.CRISPRスクリーニングにより多能性細胞から生殖細胞への細胞運命制御を追跡
  • "Tracing the Transitions from Pluripotency to Germ Cell Fate with CRISPR Screening" Hackett JA, ~ Surani AM. bioRxiv. Posted February 22, 2018.
  •  低分子のレポーターシステムとCRISPRゲノムワードスクリーニングにより、多能性細胞から始原生殖細胞様細胞(primordial germ cells(PGC)-like cells; PGCLC)への遷移の鍵を握る遺伝子(Zfp296とNr5a2)を同定
7.CRISPR-DT:CRISPR-Cpf1の編集効率と特異性を高めるgRNAsの設計
8.RNAガイド・シチジンデアミナーゼにより、カイコの一塩基/多重塩基編集(BE)を実現
  • "Programmable single and multiplex base-editing in Bombyx mori using RNA-guided cytidine deaminases" Xin Q, ~ Zhao P. bioRxiv. Posted February 22, 2018
  • DNA二本鎖切断を回避したBE技術(関連crisp-bioブログ記事)が開発されてきた。西南大学の研究チームは今回BE3を利用して、無脊椎動物のカイコにおいてC->Tの高効率変換を実現し、塩基編集を介してナンセンス変異誘導効率66.2%を達成。また、B. Mori遺伝子の96.5%にBE3の標的サイトが存在し、14箇所に対して14箇所までのBE3同時適用が可能なことも確認した。
9.CRISPR-Cas9遺伝子編集に基づきインテグリンに依存しないカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)感染機構を同定
  • "An Integrin-Independent Kaposi's Sarcoma-Associated Herpesvirus Infection Mechanism" TerBush AA, ~ Coscoy L. bioRxiv. Posted February 22, 2018.
  • KSHV感染に関与する受容体複合体をCRISPR-Cas9により遺伝子レベルで解析
10.[Editorial]CRISPR/Cas9によるヒト胚の遺伝子編集:大きな期待と重大な懸念
11.淡水シアノバクテリアはファージの攻撃を生き延びる
  • "Incomplete selective sweeps of Microcystis population detected by the leader-end CRISPR fragment analysis in a natural pond" Kimura S, ~ Yoshida T. Front Microbiol. Accepted 22 Feb 2018
  • 有害な藻類ブルームを形成する淡水シアノバクテリアM. aeruginosaはファージに対する免疫応答システムCRISPR-Casを備えている。このM. AeruginosaのCRISPRジェノタイピング(CT: スペーサーを含むleader-end CRISPR配列の解析)の経年変化から。
12.[OPINION] CRISPR/Cas9によって、p53欠損腫瘍脂肪においてp53の'守護者'機能を回復する
  • "Restoring the p53 ‘Guardian’ Phenotype in p53-Deficient Tumor Cells with CRISPR/Cas9" Sergiu C, Diana G, Amin H, Ioana BN. Trends Biotechnol. Available online 22 February 2018.
  • CRISPR/Cas9により変異TP53遺伝子を正常遺伝子に置換し、p53タンパク質の持続的発現と 腫瘍退縮を実現する
13.エンハンサーのRNA(eRNA)が、神経遺伝子転写に必要十分である
  • "Enhancer RNAs are necessary and sufficient for activity-dependent neuronal gene transcription" Gallus NVN, ~ Day JJ. bioRixv. Posted February 23, 2018.
  • 最初期遺伝子群に属する転写因子Fosを対象とする解析:アンチセンス法によるeRNAノックダウンはFos mRNA発現を低減するが、Fos mRNAのノックダウンはeRNAレベルに影響を与えない;CRISPR-dCas9によるeRNA合成によってFos mRNA発現が更新
14.CRISPR/Cas9 RNPによるゲノム編集を介して、抗腫瘍性を高めた腫瘍抗原特異的マウスCD8陽性T細胞を樹立
  • "Generation of tumor antigen-specific murine CD8+ T cells with enhanced anti-tumor activity via highly efficient CRISPR/Cas9 genome editing" Ouchi Y, ~ Uematsu S. Int Immunol. Published 23 February 2018.
  • ゲノム編集とTCR/MHC複合体の立体構造モデリングを組み合わせて、メラノーマ腫瘍抗原gp100特異的に標的とするPD-1(-)CD8陽性T細胞を樹立
15.CRISPR/Casによる植物ゲノム編集の精度向上
  • "Potential high-frequency off-target mutagenesis induced by CRISPR/Cas9 in Arabidopsis and its prevention" Zhang Q, ~ Chen QJ. Plant Mol Biol. 2018 Feb 23
  • 中国农业大学の研究チームは、シロイヌナズナにおいて高特異性が想定されるsgRNAを使用しても、T1世代さらにT2世代で想定以上のオフターゲット編集が発生することを見出し、2種類のオフターゲット編集抑制手法を導入した:(1) mCherryカセットをCRISPR/Cas9システムに挿入することでCas9フリーの変異体を選択可能とし、T1世代以後におけるオフターゲット編集を抑制;(2) 特異性を高めたSpCas9変異体(eSPCas9; SpCas9-HF1;HF1)の利用とsgRNAにtRNAを融合することで、オフターゲット編集を抑制
16.非組み込み型レンチウイルスを利用してCas9が誘導する免疫拒絶を回避することで、免疫応答性マウスにおける形質転換細胞の増殖を実現

17.CRISPR/Cas9によるJAM-AノックアウトがGrass Carpにレトロウイルス (GCRV)感染に対する耐性をもたらす
  • "Efficient resistance to grass carp reovirus infection in JAM-A knockout cells using CRISPR/Cas9" Ma J, ~ Feng L. Fish Shellfish Immunol. Available online 23 February 2018.
  • GCRVに起因する出血性疾患はGrass Carp(Ctenopharyngodon idellusソウギョ)は中国において大きな経済的損失をもたらしている。JAM-AがGCRV感染の必須遺伝子であることを同定。
18.In vivoでのオフターゲット作用を同定可能とするVIVO法
  • "In vivo CRISPR-Cas gene editing with no detectable genome-wide off-target mutations" Akcakaya P, ~ Maresca M, Joung JK. bioRxiv. Posted February 27, 2018.
  • CRISPR-Casゲノム編集の臨床応用にはオフターゲット変異の同定が必須である。Ex vivoでの臨床応用については、GUIDE-seq(関連crisp-bioブログ記事)をはじめとする細胞アッセイにより、オフターゲット変異サイトの同定と定量化が実現しているが、in vivoでのオフターゲット同定法は実現されていない。GUIDE-seqを開発したJ. Keith Joungらは今回、in vivoでのオフターゲット作用をゲノムワイドで高感度で偏りなく同定可能とするVerification of In Vivo Off-targets (VIVO)法を開発した。VIVO法により任意のgRNAがin vivoで相当なオフターゲット変異を誘導することを確認した上で、適切にgRNAを設計することで検出可能なオフターゲット変異の誘導を抑止することが可能なことを示した。

出典
エクソソーム
  • エクソソームは、各種の正常細胞や癌細胞から分泌される脂質二重膜に囲まれた不均質なナノスケールの小胞であり、細胞間コミュニケーションを担い、腫瘍細胞由来エクソソームは癌の悪性化や転移に関わるとされ、バイオマーカや治療標的として注目を集めている。PubMedによれば2017年にexosomes関連論文が1,794報刊行されている(2018/02/28時点)。
細胞から分泌されるナノ粒子3種類、Exo-L, Exo-Sそして'exomere'を同定
  • David Lyden (Weill Cornell Medicine)を始めとする国際研究チームは今回、非対称流フィールドフローフラクショネーション(Asymmetrical flow field-flow fractionation (AF4);下図参照)法により、25種類のマウスまたはヒトのメラノーマ、膵臓癌、結腸腺癌、非小細胞肺がん、前立腺癌、乳癌、白血病由来細胞株およびNIH3T3細胞とET2B細胞の計27種類の細胞からの分泌ナノ粒子を分画・測定し、いくつかの細胞については透過電顕解析で検証した。AF4
  • その結果、脂質二重膜に囲まれていない大量のナノ粒子(サイズ 〜35 nm)も細胞から分泌されることを見出してこれを'exomere'と命名した。また、エクソソームが、サイズ90-120 nmの大きなエクソソーム(Exo-L)とサイズ60-80 nmと小さなエクソソーム(Exo-L)の2種類のサブセットに分類できることを明らかにした。
細胞分泌ナノ・マイクロ粒子の概要
  • Lyden論文をハイライトしたUSLAのAndries ZijlstraとDolores Di VizioのNews & Viewsでは、細胞から分泌され細胞間コミュニケーションを担うナノ粒子〜マイクロ粒子のクラスとして、exomere、Exo-S、Exo-L、微小小胞体/microvesicle(1000 nm以下)、exopher(~4μm)、migrosome(1 μm以上)およびラージ・オンコソーム/Large oncosome(1~10 μm)を挙げ、それぞれのクラスのカーゴの発生源と生合成機構を図にまとめ、エクソソーム以外の生成過程の解明が進んでいないとした(News & Views Fig. 1)。
3ナノ粒子の生物物理学的特性
  • 平均表面電荷:Exo-L (−12.3 mV ~ −16.0 mV) ;Exo-S (−9.0 mV ~ −12.3 mV) ;exomere (−2.7 mV ~ −9.7 mV)
  • 剛性 (AFM測定):exhumer (~145–816 MPa);Exo-S  (~70–420 MPa);Exo-L (~26–73 MPa)
3ナノ粒子はサイズを異にするだけでなく、カーゴ(核酸、脂質、グリカン、タンパク質)を異にする
  • ラベルフリーMSによりマウスメラノーマ株B16-F10、マウス膵臓癌細胞株Pan02、マウス乳癌細胞株4T1、ヒト膵臓腺癌株AsPC-1およびヒト乳癌細胞株MDA-MB-231-4175のプロテオーム解析し、exomere、Exo-SおよびExo-Lについて、それぞれ、165-483種類、433-1,004種類、247-1,127種類のタンパク質を同定し、また、ナノ粒子それぞれに特有なタンパク質を同定。
  • ECRT複合体の構成因子がExo-S/Lにはエンリッチされていたが、exomereにはほとんど見られなかった。Exo-SとExo-Lの間にも差異はあり、Exo-Sにはエンドソーム、多胞体、液胞、貪食胞のタンパク質がエンリッチされ、
  • Exo-Lには細胞膜、細胞間接着/結合、後期エンドソーム、トランス・ゴルジ網のタンパク質がエンリッチされていた。
  • Exomerには、特に代謝系(中でも、解糖系とmTORC1代謝パスウエイ)に関与するタンパク質がエンリッチされており、また、低酸素症・微小管および凝固系に関するタンパク質、およびExo-SとExo-Lには見られない類の脂質がエンリッチされていた。
  • エクソソームに特異なマーカとしてされてきたフロチリン/flotillins、CD9, CD63, CD81, Alix1、Tsg101、HSC70(HSPA8)およびHsp90の発現を比較した結果、フロチリンのFLOT1とFLOT2がExo-Sのマーカであり、HSP90AB1が比較的exomereと相関し、また、CD9/CD63/CD81がいずれもExo-S/Lと相関するがその発現パターンが細胞型とExo-SかExo-L如何に依存することを見出した。
  • マウスメラノーマ、ヒト膵臓腺癌株およびヒト乳癌細胞株については、N-結合型グリコシル化のプロファイリングと脂質組成、核酸のプロファイリングも行った。その結果、N-グリコシル化の組成と構造のナノ粒子依存性、脂質量の細胞型依存性と組成のナノ粒子依存性、核酸(RNA/DNA)の量やサイズの細胞型とナノ粒子への依存性を同定した。
3粒子の生体内分布
  • マウスメラノーマ由来ナノ粒子の生体内分布をマウスin vivoで分析した。エクソマーもexmeresも造血組織(肝臓、脾臓および骨髄)に取り込まれるが、Exo-Lはリンパ節向性を示し、exmeresは主として肝臓に取り込まれることから、Exo-Lが癌の転移にかかわり、exmeresが癌進行時に肝臓における代謝のリプログラミングに関与することを、著者らは示唆した。


1.TβRIIIを低発現するT細胞白血病/リンパ腫を標的とする低分子TJ191
  • "2-Amino-3-methylcarboxy-5-heptyl-thiophene (TJ191) is a selective anti-cancer small molecule that targets low TβRIII-expressing malignant T-cell leukemia/lymphoma cells" El-Gazzar A, ~  Sandra Liekens S (KU Leuven). Oncotarget. 2018 Jan 19; 9(5): 6259–6269.
  • 著者らは先行研究で特定の癌に作用し、他の癌や正常な繊維芽細胞と免疫細胞には影響を与えない選択的低分子TJ191(2-Amino-3-methylcarboxy-5-heptyl-thiophene)を合成していた(600倍の選択性)。今回、10種類のヒトT細胞白血病/リンパ腫と末梢血単球のパネルで、TJ191の選択性がTβRIIIの発現と逆相関することを見出し、TβRIIIのCRISPR/Cas9ノックアウトにより、TJ191耐性の細胞がTJ191に感受性を部分的に回復することを示した。
2. スペーサのオフターゲット組み込みによってin vivoでもCRISPR座位が自然発生する
  • "[News & Views]CRISPRs from scratch" Edraki A & Sontheimer EJ. Nat. Microbiol;"Spontaneous CRISPR loci generation in vivo by non-canonical spacer integration" Nivala J, Shipman SL, Church GM. Nat. Microbiol. 2018 Jan 29.
  • これまでin vitroでは、標準的CRISPRアレイの外の領域に(オフターゲット)にスペーサが挿入されることが報告されていたいが、 George M. Churchらは今回、E. coli in vivoで、Cas1-Cas2がスペーサを標準的CRISPRアレイに似た領域(オフターゲット)に挿入するが起こることを見出した。さらに、CRISPRデータベースとゲノムデータベースの解析から、Yersinia pestisSulfolobus islandicusにおいてオフターゲット・スペーサ挿入が推定される事例を同定した。
3.[特許]プレボテーラ属 とフランシセラ属由来Cpf1の改変と応用
  • "Variants of CRISPR from Prevotella and Francisella 1 (Cpf1)" US20180030425A1. 2018-02-01;Inventors J. Keith Joung, Benjamin Kleinstiver;Assignee General Hospital Corp
  • 変異導入により標的選択性を高めたLachnospiraceae bacterium ND2006 (LbCpf1)とAcidaminococcus sp. BV3L6 (AsCpf1)によるゲノム工学、エピゲノム工学、ゲノム・ターゲッティング、ゲノム編集およびin vitro診断
4.熱帯樹Parasponia andersoniiの推定共生遺伝子4種類のCRISPR/Cas9変異導入がもたらす新奇表現型
  • "CRISPR/Cas9-Mediated Mutagenesis of Four Putative Symbiosis Genes of the Tropical Tree Parasponia andersonii Reveals Novel Phenotypes" Arjan van Zeijl, ~ Geurts R et al. Front Plant Sci. Accepted 19 Feb 2018.
  • 根粒菌を介して窒素固定するParasponia andersoniiの逆遺伝学の手法として、迅速で効率的なAgrobacterium tumefaciensによる形質転換とCRISPR/Cas9による変異導入のプロトコルを確立;マメ科植物において共生に関与する遺伝子4種類をノックアウトした変異体を3ヶ月で作出し、6ヶ月で表現型を分析。
5.CRISPR/Cas9による双方向分解によるDNA切断産物
  • "Bidirectional Degradation of DNA Cleavage Products Catalyzed by CRISPR/Cas9" Stephenson AA, Raper AT, Suo Z. J Am Chem Soc. 2018 Feb 20
  • SpCas9はそのHNHとRuvC活性部位によってそれぞれ標的鎖(tDNA)と非標的鎖(ntDNA)を切断する。オハイオ州立大学の研究チームは今回、Cas9が付着末端(1塩基のオーバーハング)を生成することを見出した。また、最初の切断後に、RuvCが3'から5'に向かって、PAMから遠位の-10塩基の位置まで分解を継続すると共に、5'から3'に向かって分解し平滑末端を生成することを見出した。
6.CRISPR/Cas9により新たなタウタンパク質ノックアウトマウスを作出
  • "Generation of a New Tau Knockout (tau Δex1) Line Using CRISPR/Cas9 Genome Editing in Mice" Tan DCS et alJ Alzheimers Dis. 2018;62(2)571-578.
  • CRISPR/Cas9によって、C57Bl/6JマウスのMapt(microtubule-associated protein tau)遺伝子のイントロン-1/エクソン1を欠損させたTauΔex1モデルマウスを作出
7.In planta遺伝子ターゲッティング 
  • "True gene-targeting events by CRISPR/Cas-induced DSB repair of the PPO locus with an ectopically integrated repair template" de Pater S, Klemann BJPM, Hooykaas PJJ. Sci Rep. 2018 Feb 20;8(1):3338.
  • ライデン大学の研究チームは、CRISPR/Cas9による局所的なDSBに、あらかじめゲノムに異所的に組み込んだ修復テンプレートを組み合わせるin planta遺伝子ターゲッティングを試み、修復テンプレートをゲノムから切り出することなく遺伝子ターゲッティングが実現されることを見出した。
8.条件付きリコンビニアリングとCRISPR/Cas9を介したカウンターセレクションによるStaphylococcus aureusの効率的でスケーラブルな精密ゲノム編集
  • "Efficient and Scalable Precision Genome Editing in Staphylococcus aureus through Conditional Recombineering and CRISPR/Cas9-Mediated Counterselection" Penewit K, ~ Salipante SJ. mBio. 2018 Feb 20;9(1):e00067-18.
  • University of Washington, Seattleの研究グループが今回、S. aureusの簡便でハイスループットなゲノム操作法を、ssODNのリコンビニアリング (Recombineering: recombination-mediated genetic engineering)とCRISPR/Cas9のカウンターセレクションを組み合わせることで、実現した。
  • はじめに、Enterococcus faecalis由来のリコンビナーゼEF2132S. aureusの3種類の菌株と臨床分離株6株に効率よくssDNAオリゴヌクレオチドを相同組み換え挿入することを同定した。また驚くべきことに、S. aureusでは、リコンビナーゼを伴わないssODNのエレクトロポレーションでも組み換えが発生した。
  • 次に、温度感受性の2ベクターシステムにより条件付きリコンビニアリングとCas9カウンターセレクションを実現した。
  • この手法によって、S. aureusゲノムに点変異の導入と大規模な遺伝子欠失を帯びた組み換え体の大量生産に成功した。
  • リコンビナーゼEF2132の性能について、原論文FIG 1引用下図左参照;実験手法について、原論文FIG 2引用下図右参照
Fig. 1 Fig. 2
9.CRISPR-TRiM:CRISPR/Cas9によるショウジョウバエにおける高効率な組織特異的変異導入
  • "Highly efficient CRISPR/Cas9-mediated tissue specific mutagenesis in Drosophila" Poe AR, ~ Han C. bioRxiv. Posted February 20, 2018
  • 組織特異的エンハンサーでCas9発現をドライブ。
10.オートファジーを阻害するとフォトフリンによる光線力学的治療(PDT)に対する癌細胞の感受性が高まる
  • "Inhibition of autophagy sensitizes cancer cells to Photofrin-based photodynamic therapy" Domagala A, ~  Firczuk M. BMC Cancer. 2018 Feb 20;18(1):210.
  • PDTが誘導するオートファジーが癌細胞に細胞死をもたらすとする報告と、細胞生存が維持されるとする報告が相半ばしている(原著参考文献18)。ワルシャワ大学の研究チームは今回、単独ではオートファージの初期段階を阻害するフォトフリンが、フォトフリンPDTでは、オートファジーを活性化することを見出し、CRISPR/Cas9でATG5をノックアウトすると、HeLa細胞のPDT細胞毒性に対する感受性が高まり、細胞死が亢進し、カルボニル化タンパク質が蓄積する。
11.[コメンタリー]体細胞ゲノム編集の機が熟す
12.[レビュー]CRISPR-Cas9やオルガノイドなどの新技術による大腸癌の転移マウスモデル作出への道
  • ”The path to metastatic mouse models of colorectal caner” Romano G, Chagani S, Kwong LN. Oncogene. 2018 Feb 21
13.網膜芽細胞腫モデル作出:Xenopus tropicalisにおけるCRISPR/Cas9によるRb1ノックアウト

1.RNPs用にin vitro転写(IVT)から生成されるgRNAの5'末端に存在するトリホスフェイトが、自然免疫応答を介して細胞死を誘導する
  • "CRISPR RNAs trigger innate immune responses in human cells" Kim S, ~ Kim JS. Genome Res. 2018 Feb 22.
  • ゲノム編集対象のヒトを含む動植物細胞へ、Cas9またはCpf1タンパク質とgRNAをRNPとして送達する手法が、より高効率で高精度なゲノム編集を実現する。RNPに必要な比較的長いgRNAを大量の細胞に導入するに十分な量化学合成は効率と経費の点で非現実的なため、gRNAは通常T7やSP6といったファージRNAポリメラーゼによるIVTで構築される。
  • このファージRNAポリメラーゼで生成するgRNAの5'末端には、自然免疫応答を誘導するトリホスフェート(ppp)が存在する(下図参照)。CRISPR RNAs trigger innate immune responses
    Jin-Soo Kimの研究チームは今回、細胞質内で5'-ppp gRNAsがDDX58受容体に認識され、I型インターフェロン応答を活性化し、〜80%の細胞死を誘導することを見出した。さらに、5'-pppをホスファターゼで除去して5'-OHとしたgRNAとCas9またはCpf1とのRNPによって、ヒトCD4陽性初代T細胞の突然変異誘発率95%を達成した。この結果は、5'-OHの末端を有する化学合成gRNA が、IVT gRNAsよりも編集効率が高いとするこれまでの報告と整合する。
2.CRISPR/Cas9による成長ホルモン放出促進因子受容体(growth hormone secretagogues receptor, GHSR)ノックアウト・Wistarラットの開発と特性解析
  • "Development and initial characterization of a novel ghrelin receptor CRISPR/Cas9 knockout wistar rat model" Zillar LJ, ~ Leggio L.Int J Obes (Lond). 2018 Jan 30.
  • RNAscopeによりGHSR KOを確認し、KOラットがグレリンに応答しないことに加えて、WTラットよりも食餌量が少なく、低体重で、褐色脂肪組織が多いことを見出した。
3.[レビュー]CRISPRゲノム編集
  • "A Review of CRISPR-Based Genome Editing: Survival, Evolution and Challenges" Ahmad HI, ~ Liu X, Xie S. Curr. Issues Mol. Biol. (2018) 28: 47-68.
  • 華中農業大学の Xiangdong LiuとShengsong Xieを責任著者とする15ページのレビュー;基礎、応用(ヒト疾患;家畜;エピゲノム調節;生細胞ゲノム可視化;遺伝子発現活性化と抑制;塩基編集(BE);遺伝子ドライブ;送達法)および展望。
4.USP18のCRISPR/Cas9ノックアウトにより、iPSCから誘導したマクロファージにおいて1型インターフェロン応答性が亢進し、HIV-1複製が抑制される
  • "CRISPR/Cas9 knockout of USP18 enhances type I IFN responsiveness and restricts HIV-1 infection in macrophages" Taylor JP, Cash MN, Santostefano KE, Nakanishi M, Terada N, Wallet MA. J Leukoc Biol. 2018 Feb 13.
5.ウイルス必須遺伝子UL122/123を標的とする3重CRISPR/Cas9(3種類のsgRNAs併用)によりヒトサイトメガロウイルス(HCMV)の複製を阻害
  • "Multiplex CRISPR/Cas9 system impairs HCMV replication by excising an essential viral gene" Gergen J, ~ Halary FA, Haspot F. PLoS One. 2018 Feb 15;13(2):e0192602.
  • 1sgRNAの標的へのindels誘導は50%に止まったが、3sgRNAsの併用により最初期遺伝子の90%を破壊し、タンパク質の発現も90%低減
6.Cas9によるmiRNAとlncRNA遺伝子のサイレンシング
  • "Cas9-mediated excision of proximal DNaseI/H3K4me3 signatures confers robust silencing of microRNA and long non-coding RNA genes" PLoS One. 2018 Feb 16;13(2):e0193066.
  • 著者らは先行研究で、ほとんどの遺伝子の転写開始サイトにて、H3K4me3とDNaseI が重なることを報告していた。今回、この領域を標的とするCRISPR/Cas9編集により、ヒト単球においてノンコーディングRNA(MALAT1 lincRNA; miR-146aとmi-155 )をノックアウトし、その欠損に伴う表現型を明らかにした(下図参照)。
Cas9-mediated excision of proximal DNaseI:H3K4me3

7.免疫遺伝子のCRISPR/Cas9ノックアウトにより作出した重症複合免疫不全(SCID)ウサギの肺へのバクテリアとニューモシスチス感染実験から、このSCIDhウサギがヒト重症複合免疫不全症のモデル足り得ることを示した。
8.gRNAsとcrRNAsを多重発現させる法
  • "Engineering introns to express RNA guides for Cas9-and Cpf1-mediated multiplex genome editing" Ding D, Chen K, Chen Y, Li H, Xie K. Molecular Plant. 2018 Feb 17.
  • CaS9またはCpf1遺伝子に 多シストロン性tRNA-gRNAまたはcrRNA-crRNAアレイを包含するイントロンを融合したハイブリット1遺伝子から、内在tRNAプロセシング機構またはCpf1のRNazeを利用して、gRNAsまたはcrRNAsを同時多重生成。Cpf1とイントロン性crRNAアレイからなるハイブリッド遺伝子ベクターを利用すると、通常のCpf1ベクターよりも極めて高い効率での編集実現。
9.ヘテロクロマチンは、CRISPR-Cas9変異誘発を遅らせるが、修復結果には影響を与えない
10.Hedgehogシグナル伝達を対象とするゲノムワイドCISPRスクリーンによって毛様体の機能と繊毛病を探る
  • "A CRISPR-based screen for Hedgehog signaling provides insights into ciliary function and ciliopathies" DK Breslow, ~ Chen JK, Nachury MV. Nat Genet. 2018 Feb 19.
11.ヒト癌細胞におけるHDR効率の向上
  • “Ligase IV inhibitor SCR7 enhances gene editing directed by CRISPR–Cas9 and ssODN in human cancer cells” Hu Z, ~ Chen Y, Zhu YS. Cell Biosci. 2018 Feb 19.
  • Cas9, gRNAおよびレポーターeGFPを共発現するベクター、ssODNおよび非相同末端結合(NHEJ)の阻害剤(リガーゼⅣ阻害剤)SCR7による効率向上
12.ヒトα1アンチトリプシン欠損症(AATD)モデルマウスにおいて、CRISPR/Cas9で病因変異タンパク質遺伝子を除去することで、ATDDが改善された
  • "Therapeutic Genome Editing With CRISPR/Cas9 in a Humanized Mouse Model Ameliorates α1-antitrypsin Deficiency Phenotype" Bjursell M, ~ Bohlooly-Ya M, Wiseman, J. EBioMedicine. 2018 Feb 19.

ACS Chem Biol. 2018 Feb 16
  1. pp 283-284 "[Editorial Letter]Special Issue on the Chemical Biology of CRISPR" Alyson G. Weidmann  and Amit Choudhary
  2. pp 290–295 "Spotlight: A Conversation with Laura Kiessling and Jennifer Doudna" Laura L. Kiessling and Jennifer A. Doudna.
  3. pp 296–304 "Frontiers in CRISPR" Alyson G. Weidmann.
  4. pp 305-308. "Discovering the Genome-Wide Activity of CRISPR-Cas Nucleases" Shengdar Q. Tsai.
  5. pp 309–312 "Discovery of Oligonucleotide Signaling Mediated by CRISPR-Associated Polymerases Solves Two Puzzles but Leaves an Enigma" Eugene V. Koonin Kira S. Makarova.
  6. pp 313–325 "The Future of Multiplexed Eukaryotic Genome Engineering" David B. Thompson, Stan Wang, ~ George M. Church.
  7. pp 326–332 "Identifying Novel Enhancer Elements with CRISPR-Based Screens" Jason C. Klein, Wei Chen, Molly Gasperini, and Jay Shendure.
  8. pp 333-342 "Genome Editing: Insights from Chemical Biology to Support Safe and Transformative Therapeutic Applications"
  9. pp 343–346 "Gene Drive: Evolved and Synthetic" Austin Burt and Andrea Crisanti.
  10. pp 347–356 "Diverse Class 2 CRISPR-Cas Effector Proteins for Genome Engineering Applications" Neena K. Pyzocha and Sidi Chen
  11. pp 357–365 "Type II-C CRISPR-Cas9 Biology, Mechanism, and Application" Aamir Mir, Alireza Edraki, Jooyoung Lee and Erik J. Sontheimer
  12. pp 366–375"CRISPR Approaches to Small Molecule Target Identification" Marco Jost and Jonathan S. Weissman.
  13. pp 376–382 "The Promise and Challenge of In Vivo Delivery for Genome Therapeutics" Ross C. Wilson and Luke A. Gilbert.
  14. pp 383–388 "Editing the Genome Without Double-Stranded DNA Breaks" Alexis C. Komor, Ahmed H. Badran and David R. Liu.
  15. pp 389–396 "Modulating DNA Repair Pathways to Improve Precision Genome Engineering" Katherine S. Pawelczak et al.
  16. pp 397–405 "Repair of a Site-Specific DNA Cleavage: Old-School Lessons for Cas9-Mediated Gene Editing" Danielle N. Gallagher and James E. Haber.
  17. pp 406–416 "CRISPRi and CRISPRa Screens in Mammalian Cells for Precision Biology and Medicine" Martin Kampmann.
  18. pp 417–423 "Protein Inhibitors of CRISPR-Cas9" Joseph Bondy-Denomy. Joseph Bondy-Denomy.
  19. pp 424–430"Can CRISPR-Based Gene Drive Be Confined in the Wild? A Question for Molecular and Population Biology" John M. Marshall and Omar S. Akbari.
  20. pp 431–437 "Multidimensional Control of Cas9 by Evolved RNA Polymerase-Based Biosensors" Jinyue Pu, Kaitlin Kentala, and Bryan C. Dickinson.
  21. pp 438–442 "Rheostatic Control of Cas9-Mediated DNA Double Strand Break (DSB) Generation and Genome Editing" John C. Rose, Jason J. Stephany, Cindy T. Wei, Douglas M. Fowler, and Dustin J. Maly.
  22. pp 443–448 "A Single-Chain Photoswitchable CRISPR-Cas9 Architecture for Light-Inducible Gene Editing and Transcription" Xin X. Zhou, ~ Michael Z. Lin.
  23. pp 449–454 "Generation of Optogenetically Modified Adenovirus Vector for Spatiotemporally Controllable Gene Therapy" Kazuo Takayama  and Hiroyuki Mizuguchi.
  24. pp 455–460 "Chemical Control of a CRISPR-Cas9 Acetyltransferase" Jonathan H. Shrimp, ~ Jordan L. Meier. 
  25. pp 461–466 "A Cleavage-Responsive Stem-Loop Hairpin for Assaying Guide RNA Activity" Tara R. deBoer et al.
  26. pp 467–474 "CRISPR-Mediated Tagging of Endogenous Proteins with a Luminescent Peptide" Marie K. Schwinn et al
  27. pp 475–480 "Two-Color 810 nm STED Nanoscopy of Living Cells with Endogenous SNAP-Tagged Fusion Proteins" Alexey N. Butkevich, ~ Vladimir N. Belov and Stefan W. Hell.
  28. pp 481–490 "Conformational Dynamics of DNA Binding and Cas3 Recruitment by the CRISPR RNA-Guided Cascade Complex" Paul B. G. van Erp, ~ Blake Wiedenheft. 

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