[出典] NEWS: Treatment for extreme drug-resistant tuberculosis wins US government approval. Maxmen A. Nature 2019-08-14; FDA Approves New Treatment for Highly Drug-Resistant Forms of Tuberculosis. TB Alliance. 2019-08-14.
  • WHOによると、世界中で毎年およそ50万人が多剤耐性結核(MDR-TB)と診断され、その8.5%が広範囲薬剤耐性結核 (extensively drug-resistant-TB: XDR-TB)である。XDR-TB患者は~8種類の抗結核剤を1年以上併用する必要があるが、これは重篤な副作用を伴い、現状では、XDR TBの3分の2が死亡していく。
  • MDR-TB治療薬としてこれまで、2012年にベダキリン (bedaquiline)が、2014年にデラマニド  (delaminid)が、いずれも少なくとも3種類の結核治療薬との併用を前提として承認されてきたが、6ヶ月間の投与に数百ドルから数千ドルを要し、患者の多くは (~80%)その恩恵を受けることができない。
  • 2019年8月14日になって、非営利団体The Global Alliance for TB Drug Development (TB Alliance)が開発してきたプレトマニド (pretomanid)が、XDT-TB、MDR-TBおよび既存の療法に耐えられないかまたは応答しない結核患者に対する三剤併用療法の薬剤として、Limited Population Pathway for Antibacterial and Antifungal Drugs (LPAD pathway)の枠組みでFDAによって承認された。
  • これまでの三剤併用療法によるXDT-TBの治癒率が34%にとどまっていたところ、臨床試験Nix-TBにおいて、ベダキリン、pretomanidおよび高用量のリネゾリド(linezolid)  との6ヶ月にわたる三剤併用レジメン (BPaL) により、90%の治癒率を達成した。ただし、肝毒性、骨髄抑制、抹消および視神経症などの副作用が見られた。また、べダキリンとリネゾリド以外の薬剤との併用については安全性も効用も不明である。
  • プレトマニドのライセンスはNix-TBのパートナーであった米国マイラン社が獲得し、プレトマニドを含むBPaLの治療費が注目されている。