2019-10-11 初稿; 2020-08-11 PNAS採録論文へのリンクを追加し、テキストの言い回しを一部改訂 (内容の変更なし) 。

[出典] Potent CRISPR-Cas9 inhibitors from Staphylococcus genomes. Watters KE [..] Doudna JA. (bioRixv. 2019-10-09Proc Natl Acad Sci U S A. 2020 Mar 24;117(12):6531-6539.

  J. A. Doudnaの研究グループは今回、セルフ-ターゲッティングCRISPRスクリーニングと保存性の高い抗-CRISPR相関 (anti-CRISPR associated: aca)遺伝子との'連座制 (guilt-by-association)'ゲノム検索の2種類の手法を組み合わせて、タイプII-A CRISPRシステムのエフェクターStaphylococcus aureus Cas9 (SauCas9)に抗するタンパク質 (Acrs)を探索し、3種類を同定し、AcrIIA13、AcrIIA14およびAcrIIA15と命名した。
  • これらのAcrsのN末端ドメインは、保存性が高くヘリックスターンヘリックス (Helix-turn-helix、HTH)モチーフを帯びているが、抗CRISPR機能には関与しない。
  • 一方で、C末端ドメインが、その配列は多様でありながら、それぞれ異なる機構を介して、抗-CRISPR活性をもたらしていた: AcrII13はSauCas9のDNA結合を阻害し、AcrIIA15はRNP形成を阻害するが、AcrII14は、SauCas9の活性部位に結合しまたSauCas9の二量体化を介してSauCas9を不活性化することが示唆された。
  • AcrIIA13-15はいずれも強力かつ選択的 (*)にSauCas9を阻害するが、ヒト細胞におけるSauCas9ゲノム編集をAcrIIA13が最も安定して阻害した (* AcrIIA15はSpyCas9を阻害するが効果はミニマル)。
  • AcrIIA13-15は、3種類のAcrs遺伝子のプロモータ領域の逆向き反復配列に結合することも見出したが、これは、HTHモチーフの存在と整合した。
  • AcrIIA13-15を同定後に、3種類の共通なacaの存在*を認識し、このacaに3種類のAcrタンパク質が融合したという仮説を立てた [* bioRxiv版ではaca8と命名されていたが、PNAS版ではそうした命名はされていない]。