1. 自閉症リスク遺伝子と相関する神経細胞とグリア細胞の異常をin vivo Perturb-seqにより腑分け
[出典] In vivo Perturb-Seq reveals neuronal and glial abnormalities associated with Autism risk genes. Jin X [..] Regev A, Zhang F, Arlotta P. bioRxiv. 2019-10-07.
  • Harvard UniversityとBroad Instituteを中心とする研究グループは今回、Perturb-seq [*]により、マウス子宮内 (E12.5胚)の脳神経前駆細胞 (皮質、線条体、海馬)にて、自閉症スペクトラム障害 (Autism Spectrum Disorder, ASD)のリスク遺伝子(bioRxiv, 2019)38種類にフレームシフト変異を誘導し、生後脳のシングルセルRNA-seq (scRNA-seq)から、ASDリスク遺伝子の変異の細胞型に特異的な影響を分析した。
  • 実験の規模は、18種類の妊娠マウス・コホートに由来するのべ163種類の胚から始まり、新皮質由来の46,770細胞と線条体由来の7,118細胞に及んだ。品質管理を経て35種類のASDリスク遺伝子を対象とするscRNA-secのデータに基づいて細胞をクラスタリングし、既知のマーカ遺伝子の発現に基づいて、アノテーションを加えた。その上で、皮質投射ニューロン、皮質抑制性ニューロン、アストロサイト、オリゴデンドロサイトおよびミクログリアの5種類の細胞型について詳細な解析を加えた。
  •  [*] 2018-12-24 CRISPRメモ_2018/12/24 [第1項]  Perturb-seqのバージョンアップ;Perturb-seq概念図Perturb-seq.
2. コンディショナルノックアウトによりLeishmania majorにおけるRAD51とパラログの機能を解析
[出典] Conditional knockout of RAD51-related genes in Leishmania major reveals a critical role for homologous recombination during genome replication. Damasceno JD [..] McCulloch R. bioRxiv. 2019-10-10.
  • University of Glasgowを中心とする英国とブラジルの研究グループが、CRISPR-Cas9とDimerizable Cre (DiCre) を組み合わせて(原投稿Figure 1引用下図参照)、CRISPR:Cas9 and DiCre
    RAD51およびRAD51の3種類のパラログおよびその組み合わせのコンディショナルノックアウトを実現し、それらが相同組み換えおよび細胞生存に及ぼす作用を分析した。
  • いずれの遺伝子もその個別のノックアウトはリーシュマニアを直ちに致死に至らしめなかったが、時間経過とともに繁殖力が低下しDNA異常が亢進した。RAD51のパラログの機能はリーシュマニアでは重複しておらず、RAD51がゲノム複製の要となる機能を担っていた。
3. 比較的低温で培養される植物のゲノム編集に有効なLbCas12a変異体を作出
[出典] Engineering CRISPR/LbCas12a for highly efficient, temperature-tolerant plant gene editing. Schindele P, Puchta H. Plant Biotechnol J. 2019-10-13.
  • Cas12aはCas9に対して、TリッチなPAM、PAM遠位の標的切断および4-5 ntの付着末端という特徴を備えているが、植物ゲノム編集では比較的低温でも活性が高いエフェクタが求められている。
  • J. Keith Joungグループらは先行研究で、Acidaminococcus sp.由来Cas12a (AsCas12a)に変異を導入することで、比較的低温 (25/32/37 °C)でもLachnospiraceae bacterium ND2006由来Cas12a (LbCas12a)に匹敵するenAsCas12を作出していた [*]。Karlsruhe Institute of Technologyの研究チームは今回、LbCas12aの低温編集活性の向上を実現した [* 2019-02-12 CRISPR-Cas12aの拡張、東西で続く]
  • 一連のCas12aの配列における保存性とenAsCas12への変異導入に倣って、LbCas12aの3ヶ所に変異を導入したenLbCas12a (D156R/G532R/K538R)と、1ヶ所に変異を導入した低温でも室温でも(temperature-tolerant)高活性な ttLbCas12a (D156R)を作出し、シロイヌナズナの5種類の遺伝子座に対する22℃と28℃での編集活性で実証した (ttLbCas12aの22℃と28℃での活性は10.4%-72.1%と41.4-90.3%;LbCas12aの活性は4.4-21.9%と7.0-40.3%;enLbCas12aの活性は4.1-29.9%と6.7-40.5%).
4. シロイヌナズナ茎頂分裂組織の各ドメインに特異的なCRISPR-Cas9遺伝子編集を加えることで、オーキシン輸送タンパク質PIN-FORMED1の形態形成と機械ストレス応答への寄与を解析
[出典] Live imaging-assisted domain-specific CRISPR genome editing at single cell resolution in plants. Li T, Yan A, Meyerowitz EM. bioRxiv. 2019-10-04.
  • 茎頂分裂組織は外側からL1, L3, L3...と層状組織をなしているが、Caltechの研究グループは今回、各層に特異的なCRISPR-Cas9遺伝子編集と高精細な可視化を実現した。
  • 関連bioRxiv投稿:組織特異的なプロモーターを利用してシロイヌナズナの細胞型、組織または器官に特異的な変異誘発を実現 (CRISPR-TSKO facilitates efficient cell type-, tissue-, or organ-specific mutagenesis in Arabidopsis. Decaestecker W, Buono RA [..] Nowack MK, Jacobs TB. bioRxiv. 2019-06-12).