[出典] PERSPECTIVE: The human body at cellular resolution: the NIH Human Biomolecular Atlas Program. HuBMAP Consortium. Nature. 2019-10-09.

 NIH傘下の単一の研究所だけでは対応が不可能であるがNIHとして優先的に取り組むべき医学生物学研究の新興課題に取り組む予算を手当てするNIH Common Fundの一環としてHuman Biomolecular Atlas Program (HuBMAP)が企画され、HuBMAPコンソーシウムがその概要をNatureイタ誌に発表した。

 HuBMAPの達成目標は、ヒトの全細胞をマップするオープンで網羅的なプラットフォームを構築・公開する事である。
  • ヒトの器官と組織の正常な機能は、全細胞の相互作用、空間的構成、および、各細胞の特異性に依存する。ヒトの成人の細胞数は37兆個と言われており、各細胞の機能と細胞間相互作用を網羅するプロジェクトは、歴史に残る大事業 (momumental undertaking)である。
  • HuBMAPは、分子生物学と細胞生物学の最新の技術を駆使して細胞間の連関を解析し、その連関が個々人の健康に及ぼす作用を同定可能とするツール、リソース、および細胞アトラス構築に必要なフレームワークを構築する。
  • 下図は、Fig. から1引用したHubMAPコンソーシウムの枠組みである。Fig.1
    TMSs (組織マッピングセンター)が、組織サンプルを集積し、3次元配置を明確にした上でシングルセルの分解能でマルチオミックス・データを産出する。平行して、革新的技術の開発を担う(Transformative Technology Development, TTD)グループと新技術の迅速な実用化を担う (Rapid Technology Implementation, RTI)グループが、活動する。これらの技術はのちにスケールアップされ、また、データは、HIVE (HuMAP-統合、可視化および協働/HuBMAP Integration, Visualization and Engagement - 詳細についてHIVEの募集の際の紹介スライド参照)から生物医学コミュニティーに提供する。
  • 右下図はFig.2から引用しコンソーシウムで優先的に解析していく組織と器官を、左下図はFig. 3から引用したアッセイの種類と検索の流れを示す。
Fig. 2 Fig. 3