[出典] CRISPR/Cas9 targeting of an oncogenic KRAS mutant allele induces efficient tumor regression. Gao Q, Ouyang W, Kang B, Han X [..] Yang H, Ma Y, Gu Y, Chao C. bioRxiv. 2019-10-17.

 長年にわたりアンドラッガブルとされてきたKRASの変異の中で、G12V、G12D、G13DおよびG12Cの変異を標的とするCRISPR-Casシステムによる腫瘍抑制が、これまでに、報告されている [1-3]。BGI-ShenzhenにPeking University Cancer Hospital and Instituteが加わった研究グループは今回、G12S変異を標的とするCRISPR/Cas9とdCas9-KRABによる腫瘍抑制効果を見た。
  • ヒト肺胞基底上皮腺癌由来A549細胞とヒト肺腺癌由来H2228細胞において、いずれも、アレル特異的編集と腫瘍増殖抑制を実現し、また、A549またはH2228細胞を皮下移植したマウスにおいても腫瘍成長を抑制した。抑制効果はCas9の方が高い。
  • 研究グループはまた、20種類の癌ドライバー遺伝子におけるのべ31,555種類の発癌性SNPsに対するCRISPR-Casシステムの標的サイトを、PAMの存在勘案した上で、in silicoでスクリーンし、CRISPR-Cas癌療法研究開発の手がかりを整備した。
[関連crisp_bio記事]
  1. CRISPRメモ_2018/01/17 [第1項] 変異KRASを標的とするCRISPR-Cas9により腫瘍成長を制御する
  2. CRISPRメモ_2018/08/12 [第3項] CRISPR/Cas9によるKRAS発癌性アレルの選択的ターゲッティングが、癌細胞増殖を阻害する
  3. CRISPRメモ_2018/06/08  [第2項] KRASのmRNAを標的とするCRISPR-Cas13aシステムに膵臓癌療法の可能性