1. 選択マーカを分割することで、6種類までの遺伝子導入の選択が、単一マーカで可能に
[出典] Split selectable markers. Jillette N, Du M, Zhu JJ, Cardoz P, Cheng AW. Nat Commun. 2019-10-31
  • ジャクソン研究所とユーコン・ヘルスの研究グループが、レンチウルスを介した遺伝子組換えとCRISPR-Casを介したノックイン実験に利用可能な下図 (Fig. 1から引用)のスプリット型選択マーカを開発した。Split marker
2. CRISPR, プライム・エディティングならびに若手科学者のアドバイスに関する全ての質問にDavid Liuが答えた
[出典] You had questions for David Liu about CRISPR, prime editing, and advice to young scientists. He has answers. Begley S. STAT News. 2019-11-06
  • 例えば、スタートアップ企業間の関係、プライム・エディティングと塩基編集 (BEs)の長所短所の比較 (crisp_bio 2019-11-12参照)、研究開発の戦略の立て方など、~ 40問に答えた。
3. [プロトコル]成体マウス脳における細胞型特異的CRISPR遺伝子編集用のウイルスベクター構築法
[出典] Construction of Viral Vectors for Cell Type-specific CRISPR Gene Editing in the Adult Mouse Brain. Yamaguchi H, De Lecea L. Bio-protocol. 2019-08-20
  • [オリジナル論文関連crisp_bio記事] CRISPRメモ_2018/12/07 [第3項] CRISPR/Cas9による神経細胞におけるドーパミン-β-モノオキシゲナーゼのノックダウンにより、 青斑核 から分泌されるノルアドレナリンの役割を解析
4. 異種移植の観点から、CRISPR/Cas9でPERVの逆転写酵素を不活性化したブタ組織の安全性
[出典] Characterization of porcine endogenous retrovirus particles released by the CRISPR/Cas9 inactivated cell line PK15 clone 15. Godehardt AW [..] Tönjes RR. Xenotransplantation. 2019-10-31.  
  • CRISPR/Cas9で不活性化したブタ腎臓株PK15 clone 15が、ウイルスタンパク質を発現し、ウイルス粒子を形成はするが、形状が不規則で機能不全を起こしており、感染性を示さず、また、重複感染に対する耐性を示した。
5. [オピニオン] 真核生物には、piRNAにガイドされる原核生物のCRISPRシステム様の免疫機構が存在する
[出典] [Opinion] piRNA-Guided CRISPR-like Immunity in Eukaryotes. Trends Immunol. 2019-10-31
  • 神戸大学、University of Paviaならびに理研の研究グループが、 真核生物ゲノムに存在する外来ウイルス由来の内在性ウイルス様配列 (EVEs: endogenous virus elements)が、転移因子を配列特異的にサイレンシングするPiwi-interacting RNAs (piRNAs)生成のテンプレートとして機能することを示すデータを集積し、EVEsが原核生物におけるCRISPR-Cas免疫機構に見られる抗ウイルス免疫記憶であるとした。
  • [piRNAの解説] piRNAの生成機構および作用機序. 泉 奈津子・泊 幸秀. ライフサイエンス領域融合レビュー. 2018/05/07
6. CRISPR-GPS: sgRNA-Cas9複合体を送達する新たな非ウイルス担体を開発
[出典] Non-viral delivery of CRISPR/Cas9 complex using CRISPR-GPS nanocomplexes. Jain PK [..] Bhatia SN. Nanoscale. 2019-10-31
  • MITを主とする研究グループが、そのC末端にターゲッティング用ペプチドを、N末端に脂質テイルを結合した
  • 細胞膜透過ペプチドにより形成されるCas9-sgRNA RNPによるゲノム編集を、HeLa、マウス線維芽細胞、およびヒト卵巣癌由来OVCAR6細胞で実証 (FIg.1 引用下図参照)CRISPR-GPS
7. ゼブラフィッシュにて、CRISPR-Cas9を介したグレリンへ変異が脳のトランスクリプトーム・プロファイルに与える影響を解析
[出典] Brain transcriptome profile after CRISPR-induced ghrelin mutations in zebrafish. Blanco AM [..] Delgado MJ. Fish Physiol Biochem. 2019-10-30
  • マドリード・コンプルテンセ大学などスペインにカナダが加わった研究グループが、野生型に比べて変異型で上方制御されている遺伝子664種類と下方制御されている遺伝子696種類を同定し、機能の偏りを解析。
8. それぞれの蛍光レポータを伴うコンディショナルノックアウトとノックイン・スイッチを備えたゼブラフィッシュ系統を作出
[出典] One-step Generation of Zebrafish Carrying a Conditional Knockout-Knockin Visible Switch via CRISPR/Cas9-Mediated Intron Targeting. Li J, Li HY, Gu S Y [..] Du JL. bioRixv. 2019-11-01
  • Institute of Neuroscience (上海)を主とする研究グループは先行研究で開発したイントロンを標的とするCas9を介して相同組み換え (HR)に依存しない効率的なノックイン (KI)法 [*]により今回、2色の蛍光レポータを伴うコンディショナルノックイン (GKO)とKIのスイッチ (Switch)の機能を備えるゼブラフィッシュ系統 (zCKOIS)を作出した。
  • 具体的にはhey2遺伝子座を対象として、EGFPの発現がhey2 KIのレポータとなり、TagRFPの発現が標的細胞でのCre誘導により機能を失ったCKOアレルのレポータとなるhey2zCKOISを生成した。
  • [*] Intron targeting-mediated and endogenous gene integrity-maintaining knockin in zebrafish using the CRISPR/Cas9 system. Li J, Zhang BB [..] Du JL. Cell Res. 2015-04-07.
9. E. coliタイプI-E CRISPR-Casシステムにおけるプライム型スペーサ獲得を介した自己免疫応答を、ゲノム安定性維持に関与するタンパク質が調節する
[出典] Genome Maintenance Proteins Modulate Autoimmunity Mediated Primed Adaptation by the Escherichia coli Type I-E CRISPR-Cas System. Kurilovich E [..] Severinov K. Genes. 2019-10-31
  • Skolkovo Institute of Science and Technologyを主とするロシアとクロアチアの研究グループが、RecBCD、SbcCDおよびRecJが、スペーサ前駆体の選択とCRISPRアレイへの挿入を調節することを同定した (Figure 5引用下図参照)。E. coli Type I-E
10. CRISPR/Cas9遺伝子編集をクロレラ・ブルガリスFSP-Eに初適用
[出典] Development of CRISPR/Cas9 system in Chlorella vulgaris FSP-E to enhance lipid accumulation.  Enzyme Microb Technol. 2019-10-31
  • 成功大学 (台湾)の研究チームが、fad3遺伝子を標的とするCRISPR/Cas9システムにより、脂質量を46%向上。