7. [ニュース] CRISPRと機械学習を携えてスタートアップ企業が作物生産の効率化を加速
[出典] [NEWS] With CRISPR and machine learning, startups fast-track crops to consume less, produce more. Waltz E. Nat Biotecnol. 2019-09-25
 Inariは、UCLAの植物エピゲノム編集の技術 [1]とCSHLのプロモータ編集技術 [2]のライセンスを取得し、今回、1.44億ドルの資金を調達し、種苗会社が提供してきた作物よりも、より少ない水と肥料でより多くの収量をもたらす作物の開発に走り出した。Benson HillはInraと同様にゲノム編集と機械学習に基づくプラットフォームCropOSを開発し、PairwiseIndigoも独特の技術を開発している。なお、Inraは、その科学者の~50%が女性であることも特徴である。
  1. 2019-02-17 CRISPR-Cas9 SunTagシステムによるシロイヌナズナ遺伝子座の調節
  2. CRISPRメモ_2017/09/15 [第2項] 作物の品種改良:シスエレメントへの変異導入による量的形質改変
8. CRISPR-Cas9による植物ゲノム編集のスコープをxCas9およびCas9-NGから更に広げた
[出典] Expanding the scope of CRISPR/Cas9‐mediated genome editing in plants using an xCas9 and Cas9‐NG hybrid. Liu Q, Wu S [..] Lang Z. J Integr Plant Biol. 2019-11-08
 中国科学院上海生命科学研究院分子植物科学卓越創新中心の研究グループが、トマトまたはシロイヌナズナにおいて、SpCas9に対してxCas9 [1]とCas9-NG [2]に導入された変異全てを導入することで、NG、GAG、GAAおよびGATをPAMとして認識しindelsを誘導するXNG-Cas9を作出した。xCas9は、トマトではNGをPAMとして認識せず、また、XNG-Cas9は、xCas9とCas9-NGが編集対象としえないAGAをPAMとして認識し、15.8%の変異誘導率を示した。
9.  Cas9バリアントによるイネのゲノム編集と塩基編集 (BE)のスコープ拡大
[出典] Engineered Cas9 variant tools expand targeting scope of genome and base editing in rice. Zeng D, Li X [..] Liu YG, Zhu QL. Plant Biotechnol J. 2019-11-06.
 華南農業大学を主とする中国の研究グループは、イネにコドン最適化したCas9をベースにxCas9とCas-NGを作出し、Cas9-NGにさらにeCas9(1.1)の変異 [*] (K848A/K1003A/R1060A)を導入したeCas9-NGを作出し、TGN PAMsを伴うOsWaxy (デンプン合成酵素Iをコードするイネ遺伝子)の編集効率を比較評価した。Cas9-NGとeCas9-NGがxCas9よりも遺伝子編集についてもBE (C-to-T)についても高い効率を示し、Cas9-NGがeCas9-NGよりもイネのゲノム工学に適しているという結論に達した。
10. トマトの63種類の免疫関連遺伝子を標的とするCRISPR/Cas9が誘導する変異を検証
[出典] Generation and molecular characterization of CRISPR/Cas9-induced mutations in 63 immunity-associated genes in tomato reveals specificity and a range of gene modifications. Zhang N [..] Martin GB. bioRxiv. 2019-11-08.
 Boyce Thompson Institute for Plant ResearchとCornell Universityの研究グループが、表題編集から得られたT0世代361個体とT1世代が帯びていた変異の規模と種類を網羅的に同定した。

11. [レビュー] CRISPR/Casゲノム編集技術によるHDRを介した精密な植物遺伝子ターゲッティングの現状と将来
[出典] Precise gene replacement in plants through CRISPR/Cas genome editing technology: current status and future perspectives. Li S, Xiao L. aBIOTECH. 2019-11-07
 中国農業科学院作物科学研究所の研究チームによるレビュー:CRISPR/Cas9 HDRによる植物遺伝子ターゲッティングの事例 (Table 1);ジェミニウイルス・レプリコンを介した修復用DNAテンプレート (DNA repair template, DRT)の供給向上の効果;CRISPR/Cas12a HDRによる植物遺伝子ターゲッティング;HDR過程の分子機構;HDR効率の改善など。

12. CRISPR-Cpf1による糸状菌Ashbya gossypiiのゲノム多重編集
[出典] Multiplex genomic edition in Ashbya gossypii using CRISPR-Cpf1. Jiménez A, Hoff B, Revuelta JL. bioRxiv. 2019-11-08.
 University of Salamanca (スペイン)とWhite Biotechnology Research (ドイツ)の研究グループが、PAM (5'-NGG-3')を認識するCas9に替えてTリッチなPAM (5’-TTTN-3’) を認識するLachnospiraceae bacterium Cpf1 (Cas12a)とドナーDNA (dDNA)を利用してAshbya gossypii (Eremothecium gossypii) の5種類の栄養要求性マーカ遺伝子それぞれへの大規模な欠失誘導を実現した。続いて、Cpf1にcrRNAアレイとdDNAアレイを組み合わせて、4種類までの遺伝子の同時編集が可能なことを示した。