[出典] The post-PAM interaction of RNA-guided spCas9 with DNA dictates its target binding and dissociation. Zhang Q, Wen F [..] Shen B, Sun B. Sci Adv. 2019-11-13
 上海科技大学、南京医科大学ならびに中国科学院物理研究所の研究グループは、光ピンセットに基づいて、dCas9、sgRNAおよび標的DNAとの間の相互作用の強さを標的DNAに沿って測定可能とする装置を開発し (Fig. 1引用下図のA参照)、Fig. 1
PAMから上流へ3 bpの隣接領域内と、意外にも、PAMから~14 bp下流のサイトに、安定した相互作用が発生することを発見した (Fig. 2引用下図の G 参照)。Fig. 2
 DNA上のSpCas9のフットプリントについては、原子力間顕微鏡観察 [1]では広い領域に見られたが、SpCas9/sgRNA/DNAの三者複合体の結晶構造解析の結果 [2] では、SpCas9はPAMの下流については数ベースをカバーするに過ぎなかった。
 この下流サイトでの相互作用は、PAM上流20-bp領域における相互作用よりは弱いが、Cas9の標的DNAに対する結合、切断および遊離に決定的であった。すなわち、下流サイトが欠損あるいは他に占有されていると、Cas9の標的DNAへの結合と切断が障害される。こうしてより減弱した相互作用がヘリカーゼでいつでも切断されることになり、標的DNAに結合していたCas9がDNAから迅速に遊離し、三者複合体が崩壊するに至る。

[参考crisp_bio記事]