[出典] Multiplex nucleotide editing by high-fidelity Cas9 variants with improved efficiency in rice. Xu W, Song W [..] Yang J. BMC Plant Biol. 2019-11-21.
 北京市農林科学院の研究グループは今回、SpCas9および3種類の高精度版SpCas9 (eSpCas9(1.1) [1]; SpCas9-HF2 [2]; HypaCas9 [3])に、ラットまたはウミヤツメのシチジンデアミナーゼ (rAPOBEC1またはPmCDA1[4]) を組み合わせたrBEまたはpBEと、tRNA-sgRNAの多重コンストラクトを利用して、イネにおける多重な塩基編集 (BE)の効率とオフターゲット頻度を評価した (SpCas9版rBEとpBEおよびtRNA-sgRNAのコンストラクトについて、Fig. 1から引用した下図 a 参照)。rice BE 1
SpCas9および高精度版SpCas9いずれについても、イネにおけるC-to-Tの変換効率はpBEがrBEを大きく上回った (上図 b 参照)
 また、複数遺伝子を標的とするgRNAsをtRNAを介して直列に結合したコンストラクトを組み合わせることで多重遺伝子編集が実現するが、gRNAを改変することで (Fig. 2引用下図 b 参照)、rice BE 2
高精度版SpCas9に基づくpBEの変換効率が向上し (上図 c 参照)、特に、eSpCas9(1.1)-pBEの場合は著しく向上した (下図 c 参照)。改変gRNAは、高精度版SpCas9のノックアウト活性も1.7~2.3倍向上させた (上図 d 参照)
 変換効率の観点でからは、eSpCas9(1.1)が最も優れており、編集の精度 (オフターゲット抑制)の観点からは、SpCas9-HF2またはHypaCas9に基づくpBEが優れていた。

[参考crisp_bio記事]
[1] CRISPR関連文献メモ_2015/12/02 [第1項] "eSpCas9": Cas9/sgRBA/標的DNA三者複合体の構造に基づいて、オフターゲット編集を検出限界以下まで抑制するCas9変異体を作出
[2] CRISPRメモ_2018/06/08 [第1項] [特許公開]レポータCas9変異体 (HypaCas9)とその利用法