1. ゲノムワイドCRISPRスクリーンにより、メラノーマのBRAF阻害剤 (BRAFi)耐性の必須パスウエイと遺伝子を同定
[出典] Genome-wide CRISPR screens identify essential cell growth mediators in BRAF-inhibitor resistant melanoma. Li Z, Wang B [..]  Xiao T, Boland GM, Liu XS. bioRxiv. 2019-12-17
 Dana-Farber Cancer Instituteと同済大学などの 米中の研究グループは今回、BRAFi PLX4032に長期間暴露した一連のBRAF (V600E) 変異細胞株を対象とするCRSIPR KOスクリーン、RNA-seqおよびATAC-seqの結果を統合解析することで、メラノーマが、転写因子のJUNファミリーおよび転写因子ETSファミリーのETV5によるCDK6の発現亢進を介してBRAFiに対する耐性を獲得することを同定し、BRAFiとCDK6阻害剤の併用療法が効果的であることを示唆した。

2. ゲノムワイドCRISPRスクリーンにより、A型肝炎ウイルス感染にUFMylationとTRAMP様複合体が必要なことを同定
[出典] A CRISPR screen identifies UFMylation and TRAMP-like complexes required for hepatitis A virus infection. Puschnik AS [..] Ott M. bioRxiv. 2019-12-16.
 Chan Zuckerberg BiohubとGladstone Institutesの研究グループは今回、Huh7.5.1 細胞株へのHAV HM175/18f株感染におけるCRISPR KOスクリーンから、既知のHAV感染必須因子の他に新たに表題の2因子を同定し、HAVの翻訳がUFMylationに関与するユビキチン様タンパク質UFM1に依存し、また、TRAMP複合体のPAPD5とPAPD7の阻害剤によって、HAVの複製が抑制されることを確認した。

3.  予期せざるCRISPRシステムの多様性から結核菌の反復配列の進化パターンが明らかに
[出典] Unexpected diversity of CRISPR unveils some evolutionary patterns of repeated sequences in Mycobacterium tuberculosis. Refrégier G, Sola C, Guyeux C. bioRxiv. 2019-12-13
 分子疫学の観点から結核菌のCRISPR遺伝子座は1997年以来研究されてきたが、最初に決定されたゲノム配列に見られた43のスペーサだけに依存した偏りがあり、また、CRISPRアレイに隣接するcas遺伝子の分散は無視されてきた。
 Institute for Integrative Biology of the Cell (I2BC)とUniv. Bourgogne Franche-Comté (UBFC)の研究チームは今回、198種類の臨床分離株のショートリードからCRISPR-cas遺伝子座を比較分析したところ、スペーサ自身の多様性はひろがらず、結核菌の分子疫学に利用されてきた挿入断片IS6110の挿入部位や、スペーサとダイレクトリピートにおけるSNPs、さまざまな長さの重複およびダイレクトリピートのブロックの欠落における多様性を発見した。この結果は、結核菌のCRISPR遺伝子座が、直近の共通祖先からの単純なCRISPRアダプテーション (新規スペーサの獲得)とは異なる分子機序で進化してきたことを示唆している。

4. dCas12a (Cpf1)に基づくCRISPRiにて、lacリプレッサーを介して速生育性のシアノバクテリアSynechococcus sp. UTEX 2973の光合成の鍵過程の抑制を調節
[出典] Tunable repression of key photosynthetic processes using Cas12a CRISPR interference in the fast-growing cyanobacterium Synechococcus sp. UTEX 2973. Knoot CJ, Biswas S, Pakrasi HB. ACS Synth Biol. 2019-12-12
 WUSTLの研究グループの報告:外来のレポータタンパク質と、内在する集光アンテナフィコビリソーム、グリコーゲン合成および光化学系I(Photosystem I: PSI)について、CRISPRiによるノックダウンを実現し、ノックアウト実験では実現不可能な機能解析が可能なことを示した。PSIのノックダウンは、PSIの安定化に関与する因子BtpAを標的として光独立栄養条件下で84%を達成した。また、dCas12aはdCas9よりも細胞毒性が低いことも見出した。

5.  CRISPR/Cas9技術により、条件付きNomo1ノックアウト・マウスモデル作出
[出典] Establishment of a conditional Nomo1 mouse model by CRISPR/Cas9 technology. García-Tuñón I [..] Sánchez-Martín M. Mol Biol Rep. 2019-12-12.
 IBSAL (Instituto de Investigación Biomédica de Salamanca)をはじめとするスペインの研究グループの報告。CRISPR/Cas9によりNomo1遺伝子の第3エクソンにLoxPを挿入することで、条件付きノックアウトを実現した。

6. CRISPR-Cas9により、エリート品種から半矮性イネを作出
[出典] Using CRISPR-Cas9 to generate semi-dwarf rice lines in elite landraces. Hu X, Cui Y, Dong G [..] Qian Q. Sci Rep. 2019-12-13.
 China National Rice Research Instituteからの報告:CRISPR-Cas9によって、KasalathとTeTePu (TTP)のSemi-Dwarf1 (SD1) を編集することで、元のエリート品種の好ましい形質を維持したまま、草高が抑えられて倒伏耐性が高い品種を作出した。

7. オンライン・メディアにおけるサイエンス・コミュニケーションにプレス・リリースが及ぼす影響 - CRISPRの場合
[出典] Science communication in online media: influence of press releases on coverage of genetics and CRISPR. Grochala R. bioRxiv. 2019-12-16.
 Rafał GrochalabioRxivへの投稿:これまでの分析で、研究者にとって必須の論文から一般社会が情報を入手するニュース記事までの情報の流れに、プレスリリースが大きな影響を及ぼし、それが時に誇張といった問題を伴うことが、知られている;461報のプレスリリースを伴う論文を含む1,362報の論文をめぐるオンラインニュース記事を分析し、プレスリリースの有無によってニュース露出頻度が74分の1(ビッグジャーナルや著名研究機関からの論文の場合でも8分の1)であり、ニュースの39-43%がプレスリリースのテキストの一部を使用し、また、プレスリリースには利益相反、複数件の特許申請などの情報を欠いていた、とし、プレスリリースがニュース記事にバイアスをもたらすリスクを帯びているとした。