[論文] Plant gene editing through de novo induction of meristems. Maher MF, Nasti RA [..] Voytas DF. Nat Biotechnol. 2019-12-16. [Research Highlight] Plant gene editing improved. Baumann K. Nat Rev Mol Cell Biol. 2019-12-30.

 植物の遺伝子編集は、無菌状態で植物体から摘出し培養している外植体の細胞にCas9-sgRNAsを導入したのち、ホルモンのカクテルに晒すことで、植物体へと分化させる操作を行う。この組織培養を介した遺伝子編集は非効率的であり、数ヶ月の時間を手間を要し、実用になった植物種と遺伝子型はごく限られており、また、ゲノムおよびエピゲノムに意図した以外の変異が誘導されるリスクを伴っていた。

 University of Minnesotaの研究グループは今回、タバコの稚苗に、形態形成調節因子 (developmental regulators, DRs)とCas9-sgRNAsをAgrobacterium tumefaciensを介して導入し、メリステムのde novo形成の誘導と遺伝子編集を実現し、組織培養を経ることなく、遺伝子編集トランスジェニック・シュート形成に至り、さらに稔性植物体の再生に至り、この手法を、Fast-TrACC (fast-treated agrobacterium co-culture)と命名した。
 Fast-TrACCは、DRsとしてトウモロコシ由来のWus2とシロイヌナズナ由来のSTMまたはサイトカイン生合成遺伝子iptとの2種類のセットを選択することで、タバコで実証された。

 研究グループは次に、無菌培養を無用にする土壌栽培植物への遺伝子改変メリステム誘導を実現した。Cas9を恒常的に発現させたタバコから全てのシュート・メリステムを剪定し、切断部位にDRsとsgRNAsを発現するA. tumefaciens溶液を浸み込ませることで、目的とする遺伝子編集を帯びたメリステムを誘導し、植物体再生に至った。T-DNAを非検出のメリステムと植物体も得られた。

 タバコで実証した効率的な遺伝子編集は、トマト、ジャガイモおよびブドウの遺伝子編集でも再現され、数ヶ月を要した過程が数分の1にまで短縮された。