1. CRISPR/Cas9により骨粗鬆症性・偽神経膠腫症候群のモデルとなる低密度リポタンパク 受容体関連タンパク5 (LRP5)不全ラット系統を樹立
[出典] Low-density Lipoprotein Receptor-related Protein 5 (LRP5)-deficient Rats Have Reduced and Abnormal Development of the Retinal Vasculature. Ubels JL [..] Williams BO. bioRxiv. 2020-01-07.
 ヒトLRP5の機能喪失変異は骨粗鬆症性・偽神経膠腫症候群 (OPPG)を引き起こす。これまでに研究資源としてOPPGモデルマウスが樹立されていたが、Van Andel Research Instituteと Calvin Universityの研究グループは今回初めてOPPGラットモデル樹立した。
  • ラットは、ヒトの生理状態をマウスよりはより良く再現し、また、マウスよりも各組織のサイズが大きく検体を採取しやすいとされている。
  • CRISPR/Cas9によりLRP5不全ラットを3系統作出し、骨密度低下と網膜血管発生異常を示すことを確認し、骨と網膜の発生におけるWntシグナル伝達の機能を解析するモデルとして有用とした。
2. 膀胱癌の遺伝子治療を可能とするリポソームを介したCRISPR-Cas13aシステムのデリバリー
[出典] A Multifunction Lipid-Based CRISPR-Cas13a Genetic Circuit Delivery System for Bladder Cancer Gene Therapy. Fan J, Liu Y, Liu L, Huang Y, Li X, Huang W. ACS Synth Biol. 2020-01-10
 深圳大学 第一附属医院などの研究グループが今回開発した手法の特徴:
  • 転写物を標的とし標的細胞のゲノムを不安定化しないCas13aを採用
  • 膀胱癌細胞で高発現するhVEGFR2を標的とするリポソームを使用
  • CRISPR13aは、膀胱癌細胞に特異的な合成プロモータで活性化する
  • 色素を介して近赤外光によりデリバリーを制御
  • VEGFR2、Bcl-2およびサバイビンを標的とする三重のcrRNAsの組み込み
3. ヒト同質遺伝子系のiPSCを利用して、常染色体劣性遺伝性若年性パーキンソン病(PD)の病原性パスウエイを発見
[出典] Pathogenic Pathways in Early-Onset Autosomal Recessive Parkinson's Disease Discovered Using Isogenic Human Dopaminergic Neurons. Ahfeldt T [..] Rubin LL. Stem Cell Reports. 2019-12-20
 Icahn School of Medicine at Mount Sinai、Harvard Universityにニコンが加わった研究グループの報告
  • 本実験では、CRISPR技術を介してチロシンヒドロキシラーゼ (TH)遺伝子座に蛍光レポーターをノックインすることで細胞分化を追跡し、また、3D-Spin Reactorを利用することで、大量のドーパミン作動性ニューロン ( dopaminergic neurons, DNs)獲得を実現した。
  • その上で、CRISPR-Cas9により、PARKIN (PRKN)、DJ-1 (PARK7)および ATP13A2 (PARK9) のPD遺伝子をそれぞれノックアウトしたヒトiPSCsを作出し、いずれについても酸化ストレスが増したが、分化とともに黒質DNsの細胞死が増加する現象は、PARKINノックアウトhPSCでのみ見られた。
  • トランスクリプトームとプロテオームのデータをもとにしたパスウエイ解析により、3種類の細胞に共通なPD関連パスウエイとそれぞれに特異的なPD関連パウスウエイを同定した。
4. CRISPR/Cas9によるノックアウト実験により、miR-206が筋形成に必須であること、および、標的とする多くのmRNAsを同定
[出典] miR-206 knockout shows it is critical for myogenesis and directly regulates newly identified target mRNAs.  Salant GM, Tat KL, Goodrich JA, Kugel JF. bioRxiv. 2020-01-03
  • C2C12筋細胞におけるmiR-206ノックアウト実験の成果;アフィニティー精製を介して100種類を超える標的mRNAs候補を同定し、機能解析によるmiR-206が直接標的とする6種類を同定。
5. 賀建奎が使用した同意書、実験の安全性、倫理CRISPRbabies実験で使用された同意書など4種類の文書を検証
[出典] The Consent Form in the Chinese CRISPR Study: In Search of Ethical Gene Editing. Shaw D. J Bioeth Inq. 2020-01-03
  • 賀建奎が一時Webサイトで公開していた文書をsupplemental materialsとして含む論説
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