6. 4つの核移行シグナル(NLS)を加えた高精度版Cas9配列をアデノウイルスベクターでデリバリーすることで、編集効率を向上
[出典] Integrating gene delivery and gene-editing technologies by adenoviral vector transfer of optimized CRISPR-Cas9 components. Maggio I [..] Gonçalves MAFV. Gene Ther. 2020-01-03.
Leiden University Medical Centerの研究グループは今回、eSpCas9配列の5'末端にNLS配列を3'末端に3xNLS配列を結合したeSpCas9.4NLSが、3'末端と5'末端にそれぞれNLS配列を結合したeSpCas9.2NLSの2.3倍を超えて核内に局在し、ひいては、編集効率を有意に高め、DMD遺伝子の編集にも効果的であることを示した。
7. TniQに結合したタイプI-F CRISPR RNAガイド・監視複合体のクライオ電顕構造
[出典] Cryo-EM structure of a type I-F CRISPR RNA guided surveillance complex bound to transposition protein TniQ. Li Z, Zhang H, Xiao R, Chang L. Cell Res. 2020-01-03.
[注: Cell Research論文については、crisp_bioでアクセスできるのは書誌事項まで]
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8. CRISPR/Cas12aによりエクソソームを迅速かつ高感度で検出
[出典] Rapid and sensitive exosome detection with CRISPR/Cas12a. Zhao X, Zhang W, Qiu X, Mei Q, Luo Y, Fu W. Anal Bioanal Chem. 2020-01-02.
- 中国人民解放軍第三軍医大学と留学重大などの研究グループの報告:エクソソームマーカとして知られる膜貫通タンパク質CD63に結合するアプタマーでエクソーム検出を核酸検出へと変換し、Cas12aのトランス切断活性を利用するDETECTR [1]方式で、1μLあたり3 × 10の3乗~6 x 10の7乗の範囲の粒子を2時間以内で検出することを可能とした。
- また、健常者と肺癌患者に由来する検体において、ナノ粒子追跡解析結果と整合する検出精度を実現した。
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- 2019-08-16 Cas12aを介して核酸と抗体の超高感度検出を実現
9. [ミニレビュー] AAVベクター相同組換えを介したCAR-T細胞作出
[出典] Adeno‐Associated Viral Vectors for Homology‐Directed Generation of CAR‐T Cells. Moço PD, Aharony N, Kamen A. Biotechnol J. 2019-11-19.
- McGill Universityの研究チームが、自家T細胞に依存しない同種移植可能でありかつ腫瘍組織におけるT細胞の分化を遅くすることで疲弊を回避する可能性を帯びたCAR-T細胞の作出する手法として、レンチウイルスやレトロウイルスではなく、より安全とされるAAVとCRISPRシステムによるDSB誘導を組み合わせて、内在性TRAC (T-cell receptor α constant)をCARに置換する手法を紹介
- 例えば、CRISPR/Cas9 RNPのエレクトロポレーションとAAV6によるCAR DNAテンプレートのデリバリーの組み合わせや、CRISPR/Cpf1 mRNAのエレクトロポレーションとAAV6によるgRNAsとCAR DNAテンプレートのデリバリーを組み合わせ
- また、AAVの積荷のサイズの限界 (~4 kb)を回避するために二重AAVを利用する手法も紹介
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