2020-06-03 タイトルを他の共変換BEの記事に揃えた形式に変更 (旧タイトルは"CBEとABEの一体化を実現、イネ遺伝子のC>T & A>G同時変換、標的飽和突然変異誘発と指向的進化に応用")
2020-01-14 初稿
[出典] Targeted, random mutagenesis of plant genes with dual cytosine and adenine base editors. Li C, Zhang R, Meng X [..]  Li J, Gao C. Nat Biotechnol. 2020-01-13.

 中国科学院遺伝・発生生物学研究所の研究グループは、CBEとABEを植物に最適化したA3A-PBE [1]PABE-1~7 [2]を発表してきたが、今回、CBEとABEを一体化して標的領域への飽和突然変異誘発を可能としたエディターSTEMEs (saturated targeted endogenous mutagenesis editors)を発表した。
 [参考crisp_bio記事]
  1. CRISPRメモ_2018/10/13 [第2項] 植物の効率的'C-to-T'塩基編集 (BE)をnCas9とヒトAPOBEC3Aの融合で実現
  2. CRISPRメモ_2018/06/03 - 2 [第3項] ABEを植物に最適化しイネと小麦においてA•TをG•Cに変換: 進化型tRNAアデノシンデアミナーゼ (ecTadA-ecTadA7.10)を使用
  • STEMEs、A3A-PBE、PABE-7およびコントロール (Cas9)による遺伝子編集を、イネ (Olyza sativa, Os)のプロトプラストにおける4種類の遺伝子を標的とする6種類のsgRNAsにて、比較評価した。
  • STEMEsの中でSTEME-1が、C-to-TとA-to-Gのいずれの変換について最も効率が良く、それぞれ61.61%と15.50%を達成した。
  • STEME-1のC-to-TとA-to-G同時変換は最高で15.10%に達し、これは、A3A-PBEとPABE-7それぞれを同時にデリバリーした場合の効率を有意に上回った。オフターゲット変換は見られず、また、indels発生率は0.04-0.63%とCas9による発生率を大きく下回った。
  • STEMEの標的可能範囲を広げることを目的としてnCas9 (D10A)をCas9-NGニッカーゼに替えたSTEME-NGの検証実験も行った。NGG PAM領域に対してSTEME-NGの変換効率はSTEME-1からほぼ半減したが、NG PAMを認識することによる変換可能領域の拡大は、実証された。
  • このSTEME-NGにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ (OsACC)の56アミノ酸にわたる領域に対する飽和突然変異誘発を試み、20 sgRNAsを組み合わせることで、41アミノ酸の変異 (変異率 73.21%)を達成した。
  • STEMEsによる指向性進化も試みた。OsACC遺伝子の400アミノ酸 (1,200-nt)を標的とする200 sgRNAsを設計し、NGG-3'と5'-CNN PAMs領域に対してはSTEME-1を、それ以外の領域にはSTEME-NGを組み合わせることで、指向性進化実験を進めた結果、除草剤に対する耐性を帯びた系統作出に至った。
 [STEMEsの構成]
 Ubiー1プロモーター
  + APOBEC3A ecTadA-ecTadA7.10 または ecTadA-ecTadA7.10 APOBEC3A 
   + nCas9 (D10A) または nCas9-NG (D10A)
    + NLS-UGI-NLS または (NLS-UGI-NLS)x2
 (STEME-1からSTEME-4によって、APOBEC3AとTadAの並び順などが異なる)

[共変換関連crisp_bio記事]
[植物ゲノム編集関連crisp_bio記事]