[出典] Genome-wide CRISPR screen identifies host dependency factors for influenza A virus infection. Li B [..] Baillie JK,  Hacohen N.Nat Commun. 2020-01-09

 Broad Institute、University of Edinburghなど、米国、英国、イスラエルの研究グループは、A549細胞にIAVを感染させ、細胞表面でのヘマグルチニンの発現をリードアウトとするゲノムワイドCRISPR/Cas9スクリーンを行い [FIg. 1-a引用下図参照]、IAV-1-a
その結果得られた宿主因子候補遺伝子と、これまでのRNAiなどから同定されてきた候補遺伝子群を、新たに開発した情報量に基づいて総合的にランキングするメタ解析ツール (meta-analysis by information content, MAIC) [Fig.1-d引用下図参照]IAV-1-d
を介して絞り込んだ結果、高信頼度で、既知の宿主因子加えて新規な宿主因子を選定した [Fig. 2引用下図は、既報の宿主因子と今回同定した宿主因子を、IAVのライスサイクルの各ステージにマップした図]。Fig. 2
  • WDR7CCDC115およびTMEM199については、スクリーン後にノックアウト実験を行い、リソーム生合成とリソソーム内のpH調節を介して、ウイルス侵入とV型ATPアーゼ・アッセンブリーの必須遺伝子として機能することを同定した。
  • さらに、抗インフルエンザ薬ゾフルーザ (Xofluza: バロキサビル マルボキシル)に対するウイルスの感受性に関与する宿主因子を同定した。ゾフルーザは、インフルエンザウイルスが宿主のmRNAのキャップ構造をスナッチして翻訳を開始する過程を担うウイルス自身のタンパク質であるキャップ依存性エンドヌクレアーゼを標的とする薬剤である [新薬情報オンラインWebサイトから引用した下図"ゾフルーザの作用機序の概要図"参照]。ゾフルーザ
    研究グループはゾフルーザがIAV感染を抑制する度合いを、コントロール細胞とWDR7CCDC115TMEM199をそれぞれノックアウトした細胞、加えて、ヒトmRNA Cap 2´-O-Methyltransferase (CMTR1)をノックアウトした細胞で比較し、抑制度としてそれぞれ、6%、40%、45%、23%および85%を得て、ゾフルーザとCMTR1欠損がIAVに対して相乗的効果を発揮するとした。