1. CRISPRiによるモデル微生物カウロバクター・クレセンタスの遺伝子ノックダウン
[出典] A CRISPR Interference System for Efficient and Rapid Gene Knockdown in Caulobacter crescentus. Guzzo M [..] Laub MT. mBio. 2020-01-14.
  • カウロバクター・クレセンス (Wikipedia引用下図参照)は細胞周期や非対称細胞分裂などの研究に活用されているモデル微生物であるが、遺伝子の欠損に数週間を要していた。Caulobacter crescentus
  • MITの研究グループは今回、Streptococcus thermophilus CRISPR3 (Sth3)またはStreptococcus pasteurianus Cas9 (SpaCas9)を不活性化したdCas9に基づくCRISPRiによって、2種類の必須遺伝子の効率的な遺伝子ノックダウンおよび多重遺伝子のノックダウンを、効率よく実現した。SpyCas9に基づくCRISPRiはC. crescentus遺伝子ノックダウンには適さなかった。
2. CRISPRaによる生合成遺伝子クラスタの活性化を介して糸状菌から生理活性分子を発見する
[出典] CRISPR-mediated activation of biosynthetic gene clusters for bioactive molecule discovery in filamentous fungi. Roux I [..] Chooi Y-H. bioRxiv. 2020-01-14
  • 菌類のゲノムに多彩な生合成機能がコードされているが、標準的な培養条件において多くの生合成遺伝子クラスタ (biosynthetic gene clusters, BGCs)の発現が低レベルであることが障害となって、その同定ひいては利用が困難であった。
  • University of Western Australiaの研究グループは、Aspergillus nidulansをモデルとして、CRISPRa (dLbCas12a-VPRおよびdSpCas9-VPR)を介して一連のBGCs関連遺伝子を活性化することで、この障害を克服可能なことを示した。
  • 具体的にはマイクロペルフラノン合成酵素 (Microperfuranone synthase)をコードする遺伝子micAを標的とするCRISPRaによるマイクロペルフラノン増産を確認した上で、一連の遺伝子を標的とするCRISPRaによって、mic BCGからのdehydromicroperfuranoneの合成を実現した。
  • また、低温の培養条件で活性が高いCRISPRaとしてLbCas12a (D156R)-VPRを同定した。
3. バイオ燃料生産菌として期待されているセルロース分解菌Clostridium cellulolyticumから小型のCas9を同定
[出典] DNA targeting by Clostridium cellulolyticum CRISPR–Cas9 Type II-C system. Fedorova I, Arseniev A [..] Khodorkovskii M, Severinov M. Nucleic Acids Res. 2020-01-16
  • Skolkovo Institute of Science and Technology、Peter the Great St. Petersburg Polytechnic Universityなどロシアの研究グループが、C.  cellulolyticum H10株から新たなCas9 (CcCas9)を発見した。
  • CcCas9は、1,021アミノ酸 (118 kDa)とSpCas9よりも小型でSaCas9と同程度であり、5′-NNNNGNA-3′ PAM、スペーサの長さ 23-26 nt、加えて25-40°Cで活性 (40°Cで最大切断活性)を示すという特徴を帯びている。
  • ただし、CcCas9の活性はin vitroでの実験での確認であり、CcCas9はtracrRNAおよびcrRNAの3成分系で活性を示し、CcCas9とsgRNAの二成分系での活性は実現されなかった。
4.  海洋バクテリアから新たなCRISPR-Cas9
[出典] The Complete Genome of Emcibacter congregatus ZYL(T), a Marine Bacterium Encoding a CRISPR-Cas 9 Immune System. Zaho Z [..] Wu M. Curr Microbiol. 2020-01-09
  • 浙江大学の研究グループは東シナ海沿岸の浅海堆積物から分離された海洋バクテリアEmcibacter congregatus ZYL(T)の完全ゲノムから、3種類のcas遺伝子 (cas9、cas1およびcas2)、36 bpの長さの反復配列34個と33個のスペーサからなるタイプII-CRISPR-Casシステムを同定した。
  • EcCas9のサイズは1,044アミノ酸と予測され、Cas12b (1,108 アミノ酸)よりもさらに小型である(EcCas9の活性については記述無し)。
5. サルモネラのCRISPR-cas3が、クオラムセンシングを標的として、バイオフィルム形成と宿主細胞への毒性を亢進する
[出典] CRISPR-cas3 of Salmonella Upregulates Bacterial Biofilm Formation and Virulence to Host Cells by Targeting Quorum-Sensing Systems. Cut L [..] Wu M. Dai M. Pathogens. 2020-01-10. https://doi.org/10.3390/pathogens9010053
  • 華中農業大学とUniversity of North Dakotaの米国と中国の研究グループは、Salmonella enterica subsp. enterica serovar. Enteritidis  (S. Enteritidis)のタイプI-Eシステムにおけるcas3欠損株の解析により表題を同定