# 2020-03-04 Nat Cell Biol採択論文とNEWS & VIEWSへのリンクを追加 (文末にアブストラクトの対比あり)

[出典] Fast and efficient generation of knock-in human organoids using homology-independent CRISPR/Cas9 precision genome editing. Artegiani B, Hendriks D [..] Clevers H. bioRxiv. 2020-01-15. > Nat Cell Biol  2020-03-02. [NEWS & VIEWS] "Engineering human knock-in organoids" Yang Q, Oost KC, Liberali P. Nat Cell Biol  2020-03-02

 これまでに、CRISPR/Cas9による遺伝子ノックインにあたり、HITI法をはじめとして、精密とされているHDRではなくエラープローンとされているNHEJを介したDSB修復を利用する手法が開発されてきた [1-4]

 Hubrecht Institute、AMOLFなどのオランダの研究グループは今回、先行研究に倣った [*] NHEJによるノックインが、ヒトの胆管、肝細胞および腸のオルガノイドに対しても、HDRを遥かに上回るノックイン効率を実現し、また、相同アームのクローニングを必要としないことから、工程をHDR依存のノックインから2~3週間短縮可能なことを示し、この手法を、CRISPR/Cas9-mediated Homologyindependent Organoid Transgenesis (CRISPR-HOT)と称した。

 CRISPR-HOTは、蛍光標識を介した細胞内での構造分子の可視化、腸における稀な細胞型の同定、および、有糸分裂紡錘体の二重標識を介した肝細胞分裂動態の分析を実現した。また、CRISPR-HOTによるチューブリンの標識にTP53ノックアウトを組み合わせることで、TP53が肝細胞の倍数性と有糸分裂の忠実度を制御することを見出した。

 [*] CRISPR-NHEJを介したノックイン関連crisp_bio記事
  1. 2019-08-30 HITI法からSATI法へ進化 - 早老症モデルマウスの点変異修復
  2. 2017-05-06 HITI: 非相同末端結合(NHEJ)によって、in vivo で非分裂細胞に外来遺伝子をノックイン
  3. CRISPRメモ_2018/10/22 [第2項] 本来的に正確なNHEJを活かすことで、CRISPR/Cas9ゲノム編集を介したNHEJにより正確で効率的な削除を実現
  4. CRISPR関連文献メモ_2016/02/13 [第4項] 非相同末端結合修復 (NHEJ)機構によるヒト細胞への効率的レポーター遺伝子ノックインを実現
  5. MMEJを利用:2017-05-06 TALENまたはCRISPR/Cas9を使ったゲノム編集において、ヒト培養細胞、カエル、カイコへの正確かつ高効率な遺伝子ノックインを実現したPITch法
[bioRxivNat Cell Biolのアブストラクト比較]2020-03-04 8.02.13