6.  CRISPR-Cas12aを介してDNAの指数関数的増幅法rolling circle application (RCA)から偽陽性を排除する
[出典] CRISPR-Cas12a based internal negative control for nonspecific products of exponential rolling circle amplification. Tian B [..] Hansen MF. Nucleic Acids Res. 2020-01-20. 
 Technical University of DenmarkにBlusense Diagnostics ApSが加わった研究グループは今回、表題を可能とするCIRI (Cas12a-based internal referential indicator)を開発した (Figure 1引用下図参照)。CIRI
  • RCA (primer generation-RCA, PG-RCA)の結果を磁気ナノ粒子 (magnetic nanoparticle)クラスタ形成を光磁気センサーで検出する設定で実証した。
  • 内因性ネガティブコントロール用のレファランスループ (図の中のRL)の増幅が始まると、Cas12aがアンプリコンを含む全てのssDNAを切断し (コラテラルssDNA切断活性)、MNPクラスターを分解することで、非特異的産物の増幅を光磁気センサーを介してリアルタイムで検出可能となる。
  • RLは、標的ループとGC含量と長さを同一とするが配列の重複は排除し、Cas12aをガイドするcrRNAと一致させる。
7. [レビュー] CRISPR/Cas9によるCAR-T細胞療法の向上
[出典] Applications and explorations of CRISPR/Cas9 in CAR T-cell therapy. Li C, Mei H, Hu Y. Brief Funct Genomics. 2020-01-17
 CAR-T細胞療法は著効を示す一方で、自己T細胞の品質と量の不足、CAR T細胞の疲弊と腫瘍微小環境による抑制、死滅と異常増殖など、解決すべき課題が残っている。
 Hubei clinical medical center of cell therapy for neoplastic disease (武漢)の研究者が、CRISPR/Cas9技術によるアロジェニックでユニバーサルなCAR-T細胞の樹立、効能を強化するための阻害シグナル伝達の阻止、および、より安全で制御可能なCAR-T細胞開発について展望
  1. 表1 CAR-T各世代 (1, 2, 3, 次世代およびユニバーサル)の構造と特徴 (左下図に引用)
  2. 表2 CAR-T細胞におけるゲノム編集技術概観; 
  3. 表3 ユニバーサルCAR T療法治験一覧 (右下図に引用)
CAR-T 1 CAR-T 3
8. CRISPR/Cas9システムをマレック病ウイルス (MDV)でデリバリーすることで、ニワトリへのトリ白血病ウイルス・サブグループJ (ALV-J)感染に抗する
[出典] Marek’s disease virus as a CRISPR/Cas9 delivery system to defend against avian leukosis virus infection in chickens. Liu Y [..] Li K, Wang X. Ver Microbiol. 2020-01-16
  • Harbin Veterinary Research Instituteの研究グループはALVーJに最適なgRNAを同定した上で、Cas9発現カセットとともにMDVでデリバリーすることで、ニワトリにおける抗ALV-Jを実現
9. PLGAナノ粒子によるCRISPR-Cas9プラスミドのデリバリー
[出典] Fabrication and characterization of PLGA nanoparticles encapsulating large CRISPR–Cas9 plasmid. Jo A, Ringel-Scaia VM [..] Allen IC, Davis RM. J Nanobiotechnology. 2020-01-20
 Virginia Techの研究グループが、マウス骨髄由来マクロファージへのCRISPR-Cas9プラスミドのデリバリーとCas9の発現を実証

10. Cas9-sgRNA RNPによって栄養要求性突然変異を誘導することで、紅色白癬菌の機能ゲノミクスのプラットフォームを構築
[出典] Auxotrophic mutations of Trichophyton rubrum created by in vitro synthesized Cas9 ribonucleoprotein. Blechert O, Mei H, Zang X, Zheng H, Liang G, Liu W. BMC Biotechnol. 2020-01-20. 
 北京協和医学院を主とする研究グループは、RNPをプロトプラスト-PEG法により皮膚真菌症の主要な原因菌であるT. rubrumに導入することで、Ura3遺伝子をノックアウトし、ウラシル要求性株を樹立した。これをプラットフォームとして、機能解析の標的遺伝子部位にUra3をノックインしウラシル欠損培地で培養し、選択することで、標的遺伝子ノックアウト実験が可能になるが、これを、Trp3遺伝子のノックアウトがトリプトファン要求性株になることで、実証した。

11. [レビュー] 真菌学におけるCRISPRツールボックスの最先端と展望
[出典] The CRISPR toolbox in medical mycology: State of the art and perspectives. Morio F, Lombardi L, Butler G. PLoS Pathog. 2020-01-16
 University College Dublinの研究チームによるレビュー:ヒト病原性真菌4種類 (Candida spp., Cryptococcus neoformans, Aspergillus fumigatus, および Mucorales)ゲノム編集へのCRISPR-Cas技術の最適化を詳細に比較対照しながら、真菌用CRISPRツールボックスをレビュー;遺伝子ドライブ、染色体工学、指向性進化、塩基編集 (Prime Editing)、SHERLOCK, FLASHの展開を展望 (原論文Table 1引用下図参照)Table 1