[出典] TGFβ inhibition via CRISPR promotes the long-term efficacy of CAR-T cells against solid tumors. Tang N, Cheng C [..] Wang H. JCI Insight 2020-01-30.

 CAR-T細胞療法は血液腫瘍に著効を示す。一方で、免疫抑制性腫瘍微小環境が一因であるが、固形腫瘍には奏効しない。中国科学院動物研究所を主とする研究グループは、CAR-T細胞の内在TGFβ受容体II (TGFBR2)をCRISPR/Cas9によりノックアウトし、CAR-T細胞の誘導性制御性T細胞 (iTreg)への変換を抑制し、CAR−T細胞の疲弊を防止した。
  • TGFBR2 KO CAR-T細胞は、癌細胞株移植マウスモデル (CDX)と患者腫瘍組織移植マウスモデル (PDX)において、局所投与か全身投与かによらず、より高い腫瘍排除能を示した。
  • 腫瘍の対側性再移植マウスモデルでは、TGFBR2 KO CAR-T細胞が再移植腫瘍を排除し、同時に、セントラルメモリーT細胞とエフェクターメモリーT細胞の割合が増加した。
 TGFBR2 KO CAR-T細胞は、TGFβリッチな腫瘍微小環境においても抗腫瘍活性を維持し、ひいては、固形腫瘍に対して有効であることが、示唆された。

[養子免疫細胞療法 (adoptive cell therapy, ACT)関連crisp_bio記事]
  • crisp_bio 2019-12-29 腫瘍組織には免疫ニッチ(immune niches)が存在し、幹細胞様T細胞が集積している
  • crisp_bio 2019-12-21 Regnase-1を欠損したCD8陽性T細胞集団は疲弊することなく戦い続ける