1. 金ナノロッド(AuNR)と近赤外光 (NIR)によるsgRNAのデリバリーとコントロール
[出典] A Genome-Editing Nanomachine Constructed with a Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats System and Activated by Near-Infrared Illumination. Peng H, Le C, Wu J, Li XF, Zhang H, Le XC. ACS Nano 2020-02-12.
  • U. AlbertaのHongquan Zhangらは今回、AuNRを担体としてsgRNAとそれを保護するDNAをデリバリーし、続いて、NIR照射によりAuNRを加熱し、DNAからsgRNAを遊離させることで、Cas9-sgRNAによるゲノム編集を実現する手法(LACMと命名)を開発した [ACS Nanoのツイートを以下に引用]。
  • A549とHEK293T細胞において、EGFPEMX1の編集、また、PLK1のノックダウンを介したアポトーシス誘導を、実現した。
2. LAMP法に、Cas12aとプラズモニックLAMP金ナノ粒子を組みわせて、B型肝炎ウイルスの高感度・高精度な検出を実現
[出典] A sequence-specific plasmonic loop-mediated isothermal amplification (LAMP) assay with orthogonal color readouts enabled by CRISPR Cas12a. Zhou R [..] Li F. Chemical Communications 2020-02-14
  • 四川大学の研究グループは、Cas12a-crRNAが、5’TTN PAMを帯びた二本鎖LAMPアンプリコンを認識し、かつ、その非選択的ssDNA切断活性 (コラテラルssDNAase活性)を介して基質ssDNA基質 (S)をヌクレオチド産物 (P)へと分解する特徴を利用し、互いに直交するプラズモニック金ナノ粒子 (AuNP)のセットを介して、SとPの双方を可視化することで、B型肝炎ウイルスを高感度 (ダイナミックレンジ10 aM-10 fM)かつ高精度で判定可能なことを実証した。
3. Cas1-Cas2がCRISPRアレイに然るべくスペーサーを格納する分子機序モデルを提案
[出典] Selective loading and processing of prespacers for precise CRISPR adaptation. Kim S [..] Joo C. Nature 2020-02-19. [以下のテキストは 、bioRxiv (2019-04-16)  https://doi.org/10.1101/608976 投稿版に準じた「CRISPRメモ_2019/04/17 - 1 #3 3. Cas1-Cas2がCRISPRアレイに然るべくスペーサーを格納する分子機序モデルを提案」から転載]
  • CRISPR-Cas獲得免疫機構において、保存性が高いCas1-Cas2複合体が免疫記憶 (スペーサ)の形成を担っている。Delft University of Technologyの研究チームは今回、時空間分解能が高いsmFRET解析に基づいて、Cas1-Cas2が細胞内のDNA断片 (prespacers)を獲得しCRISPRアレイに組み込むadaptation機構のモデルを提案した。
  • Cas1-Casは、DNAの長さとPAMに依存して、ssDNAと部分的に二重鎖のDNAを含む多様な形のprespacerを獲得する。Cas1-Cas2が獲得したprespacersは、エクソヌクレアーゼDnaQによってCRISPRアレイに組み込まれるサイズへと成熟する。PAM配列はCas1-Cas2によってDnaQから保護されことから、prespacersは非対称的にトリムされ、CRISPRアレイに正しい向きのスペーサとして組み込まれる。
  • 分子機序の模式図:論文共著者の一人Luuk Loeffのツイート引用下図参照
4. .[レビュー] ヒトのエンハンサーについて、エビデンスと標的遺伝子が備わった包括的カタログへの道
[出典] Towards a comprehensive catalogue of validated and target-linked human enhancers. Gasperini M, Tome JM, Shendure J. Nat Rev Genet 2020-01-27.

 ヒト遺伝子のカタログは完成したが、ヒトの真正なエンハンサーのカタログは整っていない。生化学的な手法で、膨大なエンハンサー候補が上がってきているが、エンハンサーとしての機能と標的遺伝子群が特定された候補は極めて限られている。University of Washington, Seattleの研究チームは今回、ヒト・エンハンサーの同定と機能解析をめざす技術の最新動向をレビューし、レポータ・アッセイ、生化学的測定およびCRISPRスクリーンからの不均一かつ相補的な結果を融合して、エンハンサーを操作的に (operationally)定義するフレームワークを提案した。

エンハンサー研究の歴史 
  • Box1 エンハンサーの操作的 (operational)定義の変遷
  • Table 1 エンハンサーの同定、検証そしてまたは特徴づけの技術比較)
  • Box 2 エンハンサー以外の制御因子 (プロモーター, サイレンサー, インシュレーター,  シスエレメント, トランス制御エレメント)
ヒトの全エンハンサー・カタロギングに向けてスケーラブルなエンハンサー解析技術
  • 現行技術とその限界:DNAシーケンシング; 生化学的アノテーション; eQTLマッピング
  • 生化学的アノテーションの新たなアプローチ:3Dコンフォメーション・マッピング; 単一細胞分子プロファイリング
  • エンハンサーの活性を測定する技術:超並列レポータアッセイ; ノン・コーディング配列のCRISPRスクリーン (Fig. 2: CRISPR-based approaches for perturbing enhancers); Cas9にもとづくゲノム編集スクリーン; CRISPRi/aによるエピゲノム編集スクリーン; 全トランスクリプトーム・スクリーン (scRNA-seqによるアッセイ, CRISPRメモ_2019/01/05#1 プール型CRISPRiとRNA-seqによるエンハンサー・遺伝子ペアのハイスループット・スクリーニング),  Fig. 3; CRISPR-based screens of enhancer–gene links; ノン・コーディング配列のCRSIPRスクリーンの将来展望
  • In vivo検証技術: マウスにおけるin vivoレポータ・アッセイとCRISPRゲノム編集結果のフェノタイピング
エンハンサーの定義とカタロギングを目指しての提案
  • Fig. 4: A tiered framework to describe the level of support for the enhancer candidacy of a non-coding sequence.
  • Fig. 5: The blind men and the elephant of human enhancer biology.