8. [レビュー] プール型CRISPRスクリーン解析アルゴリズムのベンチマーク
[出典] REVIEW "A benchmark of algorithms for the analysis of pooled CRISPR screens" Bodapati S [..] Qi LS. Genome Biol 2020-03-09
  • Stanford Universityの研究グループは、ベンチマークのためのシミュレーションのフレームワークを開発し、人工のデータセットと、実験データセットを対象として、性能を評価した。
  • その 結果に基づいて、実験計画の設計、アルゴリズムの選択、起きうる問題とその対処法について、研究者に向けたガイドを用意した。
  • CRISPR KOには安定して稼働するMAGeCK Robust Ranking Algorithm (RRA)、gRNAの効率が大きく変動するCRISPRiとCRISPRaにはCRISPhieRmix、多重な細胞型または多重な細胞株のスクリーンから共通なヒットとそれぞれに特異的なヒットを同定するには、MAGeCK maximum likelihood estimation (MLE), JACKSおよびCERESを推奨した。
9. スペーサを多重に帯びたCRISPRアレイを1日で合成する手法を開発し、極めてコンピテントAcinetobacter baylyiにおけるCRISPRシステムと遺伝子水平伝播 (HGT)のバランス取りを確認
[出典] "One-Day Construction Of Multiplex Arrays to Harness Natural CRISPR Systems" Cooper RM, Hasty J. bioRxiv 2020-03-08. 
  • Acinetobacter baylyi は、多剤耐性菌として知られるA. baumanniiの類縁であるが、病原性がほとんど無く (日和見感染はする)、また外来遺伝子を容易に取り込むコンピテントなバクテリアである。また、A. baylyiin silicoでタイプI-F CRISPRシステムを帯びているとされていた。
  • UCSDの研究チームは今回、単一スペーサのCRISPRアレイから多重 (9スペーサ)のCRISPRアレイを導入し、スペーサの多重度とHGTを介した外来遺伝子導入との相関を探った。
  • HGTは、多重スペーサのCRISPRアレイによって効果的にブロックされたが、単一スペーサの場合は、抑制はされるがブロックはされなかった。
  • 研究グループは、A. baylyi CRISPRアレイよりもやや長いFranciscella novicida由来Cas12aの多重スペーサ (4スペーサ)CRISPRアレイも構築に成功した。
  • [CRISPRアレイ合成関連crisp_bio記事] crisp_bio 2019-07-04 CRATES: CRISPRアレイに加えてそのライブラリーも効率よく合成する手法を開発
10. Cas12a, T5エキソヌクレアーゼおよびds/ss DNAによる部位特異的変異誘導法
[出典] "A single digestion, single-stranded oligonucleotide mediated PCR-independent site-directed mutagenesis method" Dong M [..] Zhai C, Ma L. Appl Microbiol Biotechnol 2020-03-09.
  • 先行研究で、Cas9とT5エキソヌクレアーゼを組み合わせて高効率で高精度な部位特異的変異導入を可能とするin vitro CRISPR/Cas9-mediated mutagenic (ICM)を開発していた (ACS Synth Biol, 2018) 湖北大学の研究グループが今回、Francisella novicida Cas12a (FnCas12a)とT5による変異誘導法CT5-SDM (FnCas12a and T5 exonuclease mediated site-directed mutagenesis)法を開発した。
  • Cas12aで環状プラスミドを変異導入サイト近傍で切断し、生成される標的サイトを含む付着末端をT5で削除し、目的とする点変異を帯びた45 bpの長さのdsDNAを加えることでE. coli内在のギャップ修復機構を介して、点変異を帯びた環状プラスミドが形成される (効率は小型プラスミドで > 80%, >10 kbより大きなプラスミドで >40%)。
  • CT5-SDMではdsDNAに替えてssDNAを加えることでも、相同組換修復を介した点変異導入が実現した (効率は小型プラスミドで > 50%, >10 kbより大きなプラスミドで > 20%)。
11. [ビデオプロトコル] ヒト器官オルガノイドのゲノム工学に向けた汎用かつ効率的なエレクトロポレーションのプロトコル
[出典] "Universal and Efficient Electroporation Protocol for Genetic Engineering of Gastrointestinal Organoids" Gaebler AM [..] Pape K. J Vis Exp 2020-02-18
  • 細胞へのエレクトロポレーションに対して、3次元培養物であるオルガノイドに最適化したエレクトロポレーション法のプロトコルをUniversity Hospital Carl Gustav Carus - TU Dresdenの研究グループが紹介:大腸、膵臓、肝臓および胃のオルガノイドで実証済み
  • [例] CRISPR/Cas9-based knockout of TP53 in normal human stomach organoids.
12. 二本鎖RNAウイルスであるロタウイルス (RV)の遺伝子編集をCRISPR-Csy4により実現
[出典] "CRISPR-Csy4-mediated editing of rotavirus double-stranded RNA genome" Papa G [..] Petris G, Burrone OR. bioRxiv 2020-03-09
  • RVは、感染した宿主細胞内に、ウイルスを複製する場であるバイロプラズム (viroplasm, Vp)よばれる封入体を形成する。Vpにアクセスできるのは一部のウイルスタンパク質であり、外来の非ウイルスタンパク質はVpの外側にとどまるが、その制御機構は不明である。
  • International Centre for Genetic Engineering and Biotechnology (Trieste)とMRC Laboratory of Molecular Biologyなどの研究グループは、先行研究で、RVの非構造タンパク質NSP5またはNSP2に融合させることで、EGFPやmCherryをVpに送り込むことに成功していた。今回は、この2種類のタンパク質をシャトルとして利用することでCRISPR-Csy4をVpに送り込むことで、初めて、RV dsDNAの部位特異的遺伝子編集を実現し、RVの複製サイクルの可視化に至った。