2020-04-12 出典としてbioRxiv投稿にScience論文を追加
2020-04-08 EMDB/PDBからの構造データリリース (2020-04-01/04-08)につき構造情報を追加
[出典] "Structure of the RNA-dependent RNA polymerase from COVID-19 virusGao Y, Yan L, Huang Y, Liu F [..]  Wang Q, Lou Z, Rao Z. Science 2020-04-10. (bioRxiv 2020-03-17 "Structure of RNA-dependent RNA polymerase from 2019-nCoV, a major antiviral drug target" :本記事のテキスト部分は、bioRxiv投稿に準拠しています)
[構造情報]
PDB ID 6M71 SARS-CoV-2 RNA-dependent RNA polymerase in complex with cofactors;  EMDB EMD-30127 

PDB ID 7BTF SARS-CoV-2 RNA-dependent RNA polymerase in complex with cofactors in reduced condition; EMDB EMD-30178


背景
 コロナウイルスの
 RNA-dependent RNA polymerase (RdRp、別名nsp12)は、その複製と転写の必須因子であり、ギリアド・サイエンシズ社のレムデシビル (remdesivir)など、抗コロナウイルス薬の主たる標的とされている。
  • レムデシビルはエボラ出血熱とマールブルグウイルス感染症の治療薬として開発され、コロナウイルスのMERSやSARS-CoV (2003年)に対する抗ウイルス性も報告されていた。そこで、SARS-CoV-2感染症のCOVID-19患者にも試験的に処方され、2月にはCOVID-19治療薬としての第III相試験が開始された。
  • また、nsp12は、富士フィルム富山化学が抗インフルエンザ剤として開発され、COVID-19治療薬として各国で治験が始められたアビガン (ファビピラビル/Favipiravir)の標的でもあった。
成果
  • 清華大学と上海科技大学に南開大学, 広西大学, クイーンズランド大などが加わった研究グループは今回、SARS-CoV-2のnsp12と、その補因子のnsp7ならびにnsp8の複合体構造 (SARS-CoV nsp12-nsp7-nsp8)をクライオ電顕法により2.9-Å分解能で再構成した (下図はFigure 1から引用した複合体のドメイン構成と立体構造)。
    fig.1
  • SARS-CoV nsp12のモノマーが、一組のnsp7-nsp8および一つのnsp8と複合体を構成していた。この他に、nsp12モノマーと一つのnsp8との複合体および単独のnsp12の像も観察されたが、原子分解能の構造には至らなかった。
  • SARS-CoV-2のnsp12はSARS-CoVのnsp12とr.m.s.dが0.82と良く似ており、ウイルスポリメラーゼファミリーで保存されているコア構造と、ニドウイルス目ウイルスに共通なRdPp-関連ヌクレオチドトランスフェラーゼ (NiRAN)を帯びていた。一方で、nsp12のN末端領域に独特なβ-ヘアピン・ドメインを帯びていた。
  • 研究グループは構造データに基づいてさらに、SRAS-CoV-2の複製の鍵を握る残基を同定し、レムデシビルがRdRpに結合する機序も論じた (下図はFIG. 4から引用したnsp12とギリアド・サイエンシズ社がエボラ出血熱とマールブルグウイルス感染症の治療薬として開発しSARS-Co-2にも試行された (nsp12)との結合モデル)。
6LZG
[アビガン参考文献]