[出典] OPINION ARTICLE "Therapeutic strategies in an outbreak scenario to treat the novel coronavirus originating in Wuhan, China [version 2; peer review: 2 approved]" Kruse RL (JHU). F1000Research.  First published: 31 Jan 2020, 9:72; Latest published: 07 Feb 2020, 9:72

 著者は「SARS-CoV-2の生物学的知見が限られているが、その中で、比較的短期間でCOVID-19患者に投与できるか否かの観点から4種類のオプションを論じた上で、最善と思われる戦略とその具体化方策を提案する」とした。

4種類のオプション
  • SARS-CoV-2に対する中和抗体の開発、SARS-CoV-2 RNAゲノムに対するオリゴヌクレオチド、抗ウイルス承認薬のリパーパシングおよび回復期血清療法を取り上げて、それぞれ、開発に要する時間、大量生産の可能性、SARS-CoV-2に対する特異性、および、安定した品質の観点から課題を抱えており、新たな戦略が必要とした。
SARS-CoV-2のSタンパク質とヒト細胞表面上のACE2との相互作用を標的とする3つの戦略 (Figure 1引用下図参照)2020-03-23 21.37.05
  1. ACE2に結合するSARS-CoV-2 Sタンパク質のドメイン (receptor binding domain: RBD)を合成・投与し、ウイルスのSタンパク質が結合可能なACE2を枯渇させる。ただし、ACE2の阻害がCODIV-19肺炎を悪化させるリスクを伴う。
  2. ACE2に対する抗体または単鎖可変領域フラグメント (single chain Fv: scFV)を合成・投与し、ウイルスのSタンパク質が結合可能なACE2を枯渇させる。ただし、ACE2の阻害がCODIV-19肺炎を悪化させるリスクを伴う。
  3. ACE2の細胞外ドメインをベイトとしてウイルスのSタンパク質を結合させることで、Sタンパク質とヒト細胞表面のACE2との相互作用を阻害する。ACE2にはFcを融合して血中循環を長期化しておく。
第3のオプションを推奨
  • 新型コロナウイルスに対する細胞表面受容体 (ACE2)の可溶型に免疫グロブリンFcドメインを融合したACE2-Fcを利用して (Figure 2引用下図参照)、ウイルスの細胞への侵入を阻害する生物製剤を提案2020-03-23 21.37.36
  • この生物製剤は、コロナウイルスに対する広域中和抗体活性を発揮し、また、免疫システムの活性化を介してヒトに持続免疫をもたらすことを期待できる。
  • ACE2-Fc療法は、ウイルス感染に伴う肺におけるACE2レベル低下を補い、急性呼吸窮迫症候群の治療に寄与することを期待できる。
  • ACE2-Fcタンパク質の配列を共有し、組換タンパク質発現システムを直ちに稼働し、承認薬に必要な臨床試験が始まるのを待たずに、コンパッショネート・ユースの枠組みで患者に投与しよう。