[出典] "Bacterial alginate regulators and phage homologs repress CRISPR–Cas immunity" Borges AL [..] Bondy-Denomy. Nat Microbiol 2020-03-23. https://doi.org/10.1038/s41564-020-0691-3

 UCSFの研究グループは、CRISPR-Casがヌクレアーゼ活性を発揮する分子機構ではなく、CRISPR-Casの発現を制御する分子機構の解明を目指して、実験研究を進めた。
  • 順遺伝学的スクリーニングにより、Pseudomonas aeruginosaのアルギン酸生合成を制御するシステムとして同定されていた2成分制御システム が、P. aeruginosa タイプI-F CRISPR-Casシステムの発現と活性を制御することを見出した。
  • すなわち、KinB–AlgBの下流において、アルギン酸産生の活性化因子AlgU (σE オーソログ)とAlgRが、P. aeruginosのプランクトン状の成長とバイオフィルム形成時に、CRISPR-Casシステムを抑制し、また、他のアルギン酸生合成抑制因子であるAmrZも、バイオフィルム形成時にCRISPR-Casの発現と活性を抑制することを見出した。
  • PseudomonasのファージはこのCRISPR-Casシステム抑制機構を利用し、また、AmrZのホモログを帯びていることで、P. aeruginosaの獲得免疫応答を回避する。