[出典] "Applying genome-wide CRISPR-Cas9 screens for therapeutic discovery in facioscapulohumeral muscular dystrophy" Lek A [..] Kunkel LM. Sci Transl Med 2020-03-25

 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー (FSHD)は、転写因子DUX4の発現異常が病因である。DUX4タンパク質は発生段階には重要であるが、通常成熟細胞には存在せず、FSHD骨格筋でのDUX4活性化は細胞死を引き起こすことが知られている。
  • Yale School of Medicine,  Boston Children’s Hospital, Harvard Medical Schoolなどの研究グループは今回、ゲノムワイドCRISPR-Cas9 KOスクリーンによって、FSHD治療の標的を探った。すなわち、その欠損がDUX4タンパク質存在下での細胞死を回避可能とする遺伝子を探った。
  • その結果、低酸素シグナル伝達が標的として浮かび上がり、低酸素シグナル伝達を阻害したところ、実際に、DUP4タンパク質の代謝回転が速まり、細胞の低酸素応答ひいては細胞死が顕著に抑制された。
  • さらに、低酸素シグナル伝達阻害剤が、FSHD患者由来の筋原細胞のFSHD疾患バイオマーカを低減し、また、2種類のFSHDモデル・ゼブラフィッシュにおいて、骨格筋の構造欠陥と機能を改善することを、確認した。