1. [レビュー] CRISPR−Cas実験の基盤となるソフトウエア・ツール
  • 3種類のタイプ(編集-HDR/BE/PE; ノックアウト; 転写・エピゲノム制御)の実験全てに共通なgRNAの設計ツール (図1 標的可能なヒトゲノム部位; 表1図2  E-CRISP, CRISPOR, GUIDES, CRISPick, RGEN Cas-Designer,およびCHOPCHOP Webサイトの機能比較表); CRISPR Plasmids and Resources (CRISPR実験情報); 編集実験結果の解析; スクリーニング結果の解析法
  • 結論部分で、これまでに発表されたソフトウエア・ツールの30%が見つけられなくなっていること、見つけられたとしても実際にはインストールできないものなどが多々あり、ソフトウエア・ツールの保守管理を行う専任スタッフひいては予算の必要性を指摘
[出典] "Design and analysis of CRISPR–Cas experiments" Hanna RE, Doench JG (Broad Inst). Nat Biotechnol 2020-04-13

2. CRISPR-Cas9内部のドメイン間の動態を一分子FRET (smFRET)により可視化する法 
  • Cas9は、RECローブとNUCローブ (RuvC, HNH, PIのドメイン)で構成され、PAMと結合することで、dsDNA切断可能になる活性型へとコンフォメーションを変化させていくことが知られている。
  • 著者らは今回、これまで不明確であったHNHドメインのフレキシブルで可逆的な動きを標的DNA-sgRNA-Cas9三者複合体の中で明らかにした。また、精密な解析には、smFRET自体に加えて、Cas9の触媒活性と蛍光異方性のデータが必要であることを指摘し、それぞれの測定法を解説した。
[出典] "Implementation of single molecule FRET for visualizing intramolecular movement in CRISPR-Cas9" Narita H [..] Shima T (東大). bioRxiv 2020-04-14

3. gRNAの改変がCIRISPR/Cas9システムの活性に与える影響
  • gRNAの5'末端に2-ntまたは3-ntを付加すると、1-nt付加と異なり、R-ループ形成とRuvCドメインによるDNA切断活性が抑制され、さらに、20-ntのRNAヘアピンを付加することで、~9 bpの安定したR−ループが形成され、DNA切断活性が失われた。
  • Figure 1引用下図AにあるUpper Stem, ヘアピンおよび3'末端の改変は、R-ループ形成やDNA切断活性には影響しない (R−ループ形成は磁気ピンセットを利用した1分子操作で解析)。
5' gRNA
[出典] "5’ modifications to CRISPR Cas9 gRNA can change the dynamics and size of R-loops and inhibit DNA cleavage" Mullally G [..] Szczelkun MD (U Bristol,  Vilnius U). bioRxiv 2020-04-09

4. CRISPR-Cas12aのコラテラル活性に基づく新たな超高感度核酸検出法
  • ビオチン化ssDNA (*)を結合させた磁気ビーズと、 (*)に相補的なssDNA (**)を結合させた量子ドット (Qdot) を組み合わせ、crRNAの標的dsDNAを認識したCas12aが発揮するコラテラル活性によるssDNA(*)切断により、ssDNA(*)に結合できなくなったssDNA(**)を帯びたQdotsを蛍光定量する手法を開発
  • アフリカ豚熱ウイルスDNAの250 bp領域にて検証し、増幅しないまま手持ちのUVライトで~0.5μMの検出限界を達成しPOCへの適性を実証
[出典] "Magnetic Bead-Quantum Dot (MB-Qdot) CRISPR Assay for Instrument-Free Viral DNA Detection" Bao M [..] Du K (Rochester Institute of Technologyなど) bioRxiv 2020-04-12