2020-04-24: ニューヨーク市での抗体検査のニュースへのリンクを追加 "1 in 5 people tested in New York City had antibodies for the coronavirus" Saplakoglu Y. LIVE SCIENCE 2020-04-23 at EST
2020-04-20: 初稿

[出典] "Neutralising antibodies to SARS coronavirus 2 in Scottish blood donors – a pilot study of the value of serology to determine population exposure" Thompson C [..]  Klenerman P,  Jarvis LM, Gupta S, Simmonds P. medRxiv 2020-04-17.  

 英国でも他国でもSARS-CoV-2の感染の拡がりを把握できていない。症状が現われた感染者だけを診断しているためである。University of Oxfordを始めとする英国研究グループは今回、過去のSARS-CoV-2感染のマーカとして、SARS-CoV-2に対する抗体を検出することを目的として、スコットランドの最近の献血者の血液を分析した。
  • レンチウイルスをベースにしスパイクタンパク質を表面に提示しているSARS-CoV-2シュードタイプウイルスのマイクロ中和抗体測定法により、SARS-CoV-2に対する中和抗体を検出した。検体 (血漿)は、2020年3月に比較的最近のスコットランドの献血者から集められ、COVID-19の感染が拡がる以前に集められていた100検体をコントロールとした。
  • 2020年3月17日までに採血されていた血液由来の検体は全て中和抗体を帯びていなかったが、3月21-23日の採血由来の500検体は前述のアッセイ法で5検体が中和抗体を帯びていることが同定され加えて、1検体について、ELISAでスパイクタンパク質に対する抗体が同定された
  • 今回のデータだけから現在および今後感染の拡がりを推定・予測することは不可能である。一方で、抗体陽転 (seroconversion)に2-3週間を要すると見られることから、今回の結果は、この解析の期間にスコットランドで報告された感染者数 (894名)およびCOVID-19死亡者数 (25名)の動向と整合している、と考えられた。
  • 今回のデータを解釈するにあたっては、献血者集団がスコットランド全体の人口構成を反映していないことに注意する必要がある。例えば、呼吸器感染症に最近罹患した人は含まれていない。
  • また今回の調査では、感染者全体の中で抗体陽転しアッセイに反応した感染者の割合は捉えられていない。
  • これらの問題が存在していることを認識した上で、研究グループは、血液バンクの血清抗体検査は、エビデミックの発生と進行を追跡するに有用であるとした。
[シュードタイプウイルスを利用した中和抗体の測定参考資料]
インフルエンザシュードタイプウイルス技術の応用研究の進展(その1)羅 剣,  高 華(中国食品薬品検定研究院薬理室); 黄暁峰 (『細胞与分子免疫学雑誌』編集部 主任、教授).  SciencePortal China 2015-06-24.

[中和抗体関連crisp_bio記事]
2020-04-10 新型コロナウイルス感染症 (軽症)から回復した175名が帯びていた中和抗体のデータから見えてきたこと
2020-04-20 新型コロナウイルス: 抗体検査からの推定感染者数は、確定感染者数の50-85倍に及んだ (サンタ・クララの例)