[出典] "A rationally engineered cytosine base editor retains high on-target activity while reducing both DNA and RNA off-target effects" Zuo E, Sun Y, Yuan T, He B, Zhou C [..] Li Y, Yang H. Nat Methods 2020-05-18

 Agricultural Genomics Institute at ShenzhenとShanghai Institutes for Biological Sciencesなどの研究グループは今回、CBEの構造と生化学的特性の観点からオフターゲット編集を低減する可能性がある変異を設定し、rAPOBEC1ベースの23種類のCBE変異体を作出し、HEK293細胞内の10遺伝子座と11遺伝子座でオンターゲット編集活性を評価し、4種類の変異体を選択した。

 4種類のBE3変異体が誘発するDNAオフターゲット編集とRNAオフターゲット編集をそれぞれGOTI法 [参考記事 1]とRNA-seqにより評価し、双方のオフターゲット編集が顕著に低減されていた変異体3種類(BE3-R132E; YE1-BE3; FE1-BE3)に絞り込んだ。さらに、3変異体のうち YE1-BE3 (BE3 W90Y+R126E)のコドンを最適化し、Flagタグで標識した核移行シグナル配列をBE3のN末端に加える (FNLS)ことで [参考記事 2]、ヒトAPOBEC3 (hA3A)をベースとしたBE3と同等のオンターゲット活性を達成した。

 こうして、rAPOBEC1上でssDNAとRNAに結合するとされている領域に変異が導入された変異体YE1-BE3-FNLSが、オンターゲット活性を最大限に、オフターゲット編集を最小限に、加えて、編集対象ウインドウを狭めることを示すに至った。

[参考記事]
  1. 2019-11-28 BE3とCas9がオフターゲットとオンターゲットに誘導する変異プロファイル2報 [第1項] 一塩基編集(BE3)はオフターゲットSNVsを顕著に誘発する
  2. CRISPRメモ_2018/07/07 [第2項] BE (Base Editors)をさらに強化