[出典] "A human neutralizing antibody targets the receptor binding site of SARS-CoV-2" Shi R, Shan C, Duan X, Chen Z, Liu P, Song J [..] Wang F, Wang Q, Gao GF, Yuan Z, Yan J. Nature 2020-05-26 (This is an unedited manuscript that has been accepted for publication);
構造情報
7C01 Molecular basis for a potent human neutralizing antibody targeting SARS-CoV-2 RBD.

 中国科学院微生物研究所、武漢ウイルス研究所、国家感染症臨床研究中心などの中国研究グループが、SARS-CoV-2のSタンパク質の組換えRBDをベイトとして回復患者の末梢血単核細胞由来記憶B細胞から、SARS-CoV-2 RBDとHEL293T細胞内で一時的に発現させたヒトACE2受容体との結合を阻害する抗体2種類 (CA1とCB6)を発見した。
  • FACSにより、CA1とCB6はSARS-CoV-2 Sタンパク質を導入したHEK293細胞に特異的に結合し、SARS-CoV-1またはMERS-CoVのSタンパク質を導入したHEK293細胞には結合しないことを同定した。
  • SARS-CoV-2 S抗原を発現させたシュードウイルスおよび SARS-CoV-2のin vitro実験にて、CA1とCB6の双方とも中和活性を帯び、中でも、CB6の中和活性が高いことを発見した。
  • さらに、SARS-CoV-1感染において見られた抗体依存性感染増強 (ABE)を回避するために、CB6のFcにLALA変異を導入したCB6-LALAの効果を、3匹のアカゲザルで検証し、CB6-LALAの予防的投与および感染後投与が、SARS-CoV-2感染による肺損傷を顕著に緩和することを見出した。
  • また、CB6-Fab/SARS-CoV-2-RBDの複合体構造を2.9 Å分解能で解き、 hACE2/SARS-CoV-2-RBDの構造に重ねるなどして (RMSDは 0.282 Å)、CB6のSARS-CoV-2阻害と中和活性は、VHVLを介した立体障害作用と残基への結合競合作用によって、RBDのACE2への結合を阻害するとした。
  • CB6-LALAは、エボラウイルスに対する中和抗体剤MAb114  に匹敵するSARS−CoV-2中和抗体である。
  • なお、Science 2020-04-03論文 [*]にて、SARS-CoV-1中和抗体CR3022がSARS-CoV-2と交差反応するが、SARS-CoV-2を中和するには至らなかったことが報告されていたところ、研究グループは、CB6はCR3002が認識するエピトープとは異なるエピトープを認識することを確認した。
     [*] 2020-04-04 新型コロナウイルス: SARS-CoV中和抗体との結合から見えてきたSARS-CoV-2エピトープは標的足り得るか
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