[出典] “Common Germline Variants of the Human APOE Gene Modulate Melanoma Progression and Survival” Ostendorf BN [..] Tavazoie SF. (bioRxiv 2019-03-13Nat Med 2020-05-25

 APOEの主要なアイソフォームとしてAPOE2、APOE3ならびにAPOE4が知られている。アルツハイマー病発症の観点から見ると、APOE2 (抑制的) < APOE3 (中立) < APOE4の順にリスクが高まり、APOE2 <APOE3 <APOE4の順にアミロイドβ前駆タンパク質 (APP)の転写とAβの分泌が亢進されるデータも示されてきた (Cell, 2017)。
 
Rockefeller Universityの研究グループは今回、メラノーマ転移・進行の観点から見ると、APOE4 < APOE3 < APOE2の順になることを報告した。
  • ヒトの APOE4を発現したマウスでは、APOE2発現マウスに比べてメラノーマの進行と転移が抑制され、腫瘍に抗する免疫応答が亢進し、腫瘍浸潤T細胞が増加し、血管新生が抑制されていた。APOE3マウスの腫瘍量は30日の観察期間中APOE2マウスとAPOE4マウスの中間であった。
  • 続いて、TCGAデータベースのメラノーマ患者のデータ (TCGA-SKCM)を解析し、APOE4APOE3およびAPOE2のキャリアの生存期間中央値がそれぞれ、10.1年、5.2年、および2.4年と、マウス実験と整合する結果を得た。
  • PD1免疫チェックポイント阻害剤に対して、APOE4マウスはAPOE2マウスよりも高い感受性を示し、APOE4キャリアも抗PD1免疫療法に対してAPOE2キャリアよりも高い感受性を示すことも同定した。
  • 抗腫瘍免疫応答をブーストすることが報告されていた肝臓X受容体アゴニストRGX-104 *を介してマウスにおいてAPOEイタ発現を活性化したところ、APOE4マウスには効用が見られたが、APOE2マウスには効用が見られなかった [*責任著者Tavazoieが共同設立者であるRgenixの製品; 第1相試験進行中]。