4. [解説] 肝細胞癌治療からみたCRISPR/Cas9技術
[出典] REVIEW "Description of CRISPR/Cas9 development and its prospect in hepatocellular carcinoma treatment" Wu X [..] Yuan Y. J Exp Clin Cancer Res 2020-06-01
  • CRISPR/Cas9技術 (Fig. 2 引用左下図参照)と、その応用例 (Table 1引用右下図参照)HBVと肝細胞ゲノムを標的とする遺伝子編集、モデルマウス作出、免疫療法の強化、ヒトへの応用の観点からのデリバリー法など)
HCC treatment 1 HCC treatment 2
5. [レビュー] 嚢胞性線維症 (CF)遺伝子治療から見たゲノム編集技術の進歩と課題
[出典] REVIEW "Gene Therapy for Cystic Fibrosis: Progress and Challenges of Genome Editing" Maule G, Arosio D, Cereseto A. Int J Mol Sci 2020-05-30
  • 遺伝子治療によるCFTR遺伝子の機能修復戦略 (Figure 1に、HDR/BE/PE, HITI/Super-exon/ Gene complementation, Directed NHEJおよびRNA編集(ASO, SMaRT)の概要図、Table 1に、それぞれが標的可能なCFTR変異、実験モデル (細胞株、iSPCs, オルガノイド, マウス)と問題点 (編集効率, オフターゲットなど)がまとめられている。
6. 嚢胞性線維症 (CF)に見られるナンセンスコドン介在的mRNA分解 (NMD)による機能性タンパク質発現阻害を、CRISPR/Cas9により未成熟終止コドンの下流領域を削除することで防止
[出典] "Allele-Specific Prevention of Nonsense-Mediated Decay in Cystic Fibrosis Using Homology-Independent Genome Editing" Erwood S, Laselva O, Bily TMI, Brewer RA, Rutherford AH, Bear CE, Ivakine EA. Mol Ther Methods Clin Dev 2020-05-12
  • CFTR2遺伝子のエクソン23上のW1282X変異に対して、その下流の遺伝子領域を、Cas9と一組のsgRNAによるNHEJを介して削除する手法により、ホモ型W1282X変異を帯びたヒト気管支上皮細胞におけるWCFTR mRNAとタンパク質の発現回復と1282X-CFTRのチャネル活性の回復を実現した。
  • CF患者ではCFTR2 W1282X変異は複合ヘテロ接合変異であることから、アレル特異的な編集を、アレル特異的なgRNAを設計することで実現した。
  • この手法は、短縮されたタンパク質が、本来の機能の全てまたは部分的に発揮する場合に有効な遺伝子治療法である。
7.  ヒトiPSCでのADリスク遺伝子SORL1のCRISPR/Cas9 KOによって、初期エンドソームの肥大がhiPSCから分化したニューロンに発生するがミクログリアには発生しない
[出典] "Depletion of the AD Risk Gene SORL1 Selectively Impairs Neuronal Endosomal Traffic Independent of Amyloidogenic APP Processing" Knupp A, Mishra S [..] Young JE. Cell Rep 2020-06-02
  • SORL1欠損は、BACE阻害剤の有無によらず、ニューロン特異的に初期エンドソームでのAPP局在を改変する。すなわち、初期エンドソームの肥大は、アミロイド形成をもたらすAPP切断とは独立の現象であった。
8. ナイーブ型PSCにおけるCRISPR-Cas9誘導DSBの相同組換修復率はプライム型よりも40%減
[出典] "Rates of homology directed repair of CRISPR-Cas9 induced double strand breaks are lower in naïve compared to primed human pluripotent stem cells" Dodsworth BT, Hatje K, Meyer CA, Flynn R, Cowley SA. Stem Cell Res 2020-06-01
  • 研究グループは、ddPCRによってCas9誘導DSBの修復過程を追跡し、修復されないアレル数が12-24時間でピークに達し、HDR修復が24時間でプラトーに達した一方でNHEJ修復は48時間継続することを見出した。
  • 同様の実験をナイーブ型PSCで行い、ナイーブ型PSCのHDR修復率はプライム型PSCの40%減と同定し、また、ナイーブ型hPSC (4iLA)にてG1期の細胞数が多数を占めることも同定した。