[出典] "Rapid and accurate detection of novel coronavirus SARS-CoV-2 using CRISPR-Cas3" Yoshimi K [..] Mashimo T. medRxiv 2020-06-02東大医科研プレスリリース「国産ゲノム編集技術CRISPR-Cas3を用いたCOVID-19迅速診断法の開発」2020-06-03.

[注] コナン:CONAN (Cas3 Operated Nucleic Acid detectioN)名探偵コナン

 今回紹介のmedRxiv投稿の責任著者と筆頭著者である医科研のT. Mashimo (真下知士)とK. Yoshimi (吉見一人)らは2019年に、タイプI-E CRISPR-CasシステムのCas3エンドヌクレアーゼを利用したエクソン・スキッピングによるDMD遺伝子変異修の成果をNature Communication誌に発表 [1]していたが、今回、Cas3が、タイプV CRISPR-CasシステムのCas12aと同様に、標的dsDNA切断時に周辺のssDNAを無差別に切断する活性 (以下、コラテラル活性)を帯びていることを同定した上で、そのコラテラル活性を活かした新型コロナウイルス迅速検出法CONANを開発した。
  • Cas12aをベースにしたDETECTRと同様に、CONANの場合も、前処理として臨床検体から抽出したSARS-CoV-2のゲノムRNA (核タンパク質をコードする遺伝子N1とN2)を、RT-LAMPを介してDNAとして増幅し (62℃, 20分)、続いて、CONANにてCas3のコラテラル活性によりssDNAプローブが切断されることで消光されていた蛍光色素FITCが発光し(37℃, 10分)、ウイルスを検知可能となる。
  • また、POCT (臨床現場即時検査)への利用を想定して、抗FITC抗体を帯びた金ナノ粒子をライン上にセット*したラテラルフローアッセイ (LFA)試験紙により目視で判定可能(2分)とした  [* 切断されなかったssDNAプローブは第1のラインに捕捉され、切断されたssDNAプローブは第1ラインで補足されず第2のラインで捕捉される]。
  • こうしてRT-LAMP/CONAN/LFAの構成により、40分以内で標的dsDNAのシングル・コピーのレベルまで検出可能とした。
  • COVID-19患者由来検体を対象とした実証実験では31件について、陽性一致率 9/10、陰性一致率 20/21と、PCR検査法と同等の感度と特異度を達成した。
 [Cas3/CRISPRdx関連crisp_bio記事]
  1. crisp_bio 2019-12-07 CRISPR-Cas3を介したエクソン・スキッピングによるDMD遺伝子変異修復
  2. crisp_bio 2019-04-10 Cas9はスイスアーミーナイフ、Cascade-Cas3は自走するシュレッダー
  3. crisp_bio 2020-05-20 CRISPR/Casに基づくSARS-CoV-2/COVID-19検出法