2022-03-12 PNAS誌から刊行された論文の書誌情報を追記し,数値を改訂 
2020-06-11
bioRxiv投稿に準拠した初稿
[出典] "Frequent loss-of-heterozygosity in CRISPR-Cas9-edited early human embryos" Alanis-Lobato G [..] Niakan KK. bioRxiv 2020-06-05 (査読なし投稿) Proc Natl Acad Sci U S A. 2021 Jun 1;118(22):e2004832117. https://doi.org/10.1073/pnas.2004832117

 初期胚のCRISPR-Cas9遺伝子変異修復は効率が低く、高頻度でモザイクとその他の望ましくない編集結果に至ることが報告されている。
 英国初のヒト胚ゲノム編集実験を行なったKathy K. Niakan [1-3]が率いるThe Francis Crick Instituteを主とする研究グループは今回、着床前胚に、OCT4 (POU5F1)を標的とするsgRNA-CRISPR-Cas9と、sgRNAを伴わないCas9を導入した上で、新たに開発したコンピュータパイプラインを介して、単一細胞ゲノミクスとトランスクリプトミスクからのデータを比較解析し、通常のジェノタイピングでは見逃されていたオンターゲットでの変異を検出した。
  • 標的のPOU5F1遺伝子座を超える領域でヘテロ接合性消失 (LOH)が高頻度で発生
  • POU5F1が位置する6番染色体におけるセグメントの損失と獲得が発生
  • こうしたゲノムの4-20 kbにわたる目的外編集が、ヒト胚細胞の22%16%に発生
  • これらの結果は、CRISPR-Cas9によりオンターゲットに複雑な変異が誘導されるとする既報 [4]と整合
 ヒト胚のゲノム編集技術の安全性を評価するための基礎研究がまだまだ必要、と結論。

[参考crisp_bio記事]