[出典]"Comparison of CRISPR/Cas endonucleases for in vivo retinal gene editing" Li F [..] Liu GS, Hewitt AW. bioRxiv 2020-06-09. (査読なし投稿)

 University of Tasmaniaを主とする豪・中の研究グループが今回、Rosa26-YFPマウスin vivoにて、SpCas9, SaCas9, Cas12aおよびCjCas9をそれぞれsgRNAと共にデュアルAAV7m8 [*]で送達した場合と、SaCas9-sgRNAをシングルAAV7m8 [*]で送達した場合を比較し、標題結論に至った。
  • はじめに、YFPを発現させたHEK293A細胞にてそれぞれのセットの編集効率を比較し、また、マウスin vivo実験に使用するsgRNAsを選別した。YFPのノックアウト効率はSpCas9が最も高く、Cas12a, SaCas9そしてCjCas9と続いた。
  • 次に、CasとsgRNAのセットを、YFPを網膜全体で発現させたCMV-Cre::Rosa26-YFPマウスの硝子体内に注入し, 5ヶ月後にノックアウト効率を判定した。なお、CasヌクレアーゼはいずれもminiCMVで発現させ、ディアルベクターで送達するsgRNAにはmCherryを融合した。
  • AAV7m8の遺伝子導入をmCherry発現で判定した結果、内顆粒層で高発現していたが、 神経節細胞層と外顆粒層でも発現が見られ、先行研究で使用したAAV2よりもより汎網膜に近い遺伝子導入が実現していた。
  • YFP陽性細胞の減少率から見たYFPノックアウト効率には個体差が見られたが、SpCas9が最も効率が高かった: SpCas9, SaCas9 (シングルとディアル), Cas12aおよびCjCas9 がそれぞれ、~18.9%, ~8.4%と9.8%, ~5.4%および0%
 [*] AAV7m8 参考文献
  • Insight into the mechanisms of enhanced retinal transduction by the engineered AAV2 capsid variant -7m8. Khabou H, et al. Biotechnol Bioeng. 2016-06-30
  • Evaluation of Dose and Safety of AAV7m8 and AAV8BP2 in the Non-Human Primate Retina. Ramachandran RS, et al. Hum Gene Ther 2016-10-17