[出典] "Comparative targeting analysis of KLF1, BCL11A, and HBG1/2 in CD34+ HSPCs by CRISPR/Cas9 for the induction of fetal hemoglobin" Lamsfus-Calle A, Daniel-Moreno A [..] Mezger M. Sci Rep 2020-06-23

 βグロビン異常症は、βグロビン遺伝子 (HBB)の変異により、ヘモグロビンが異常になることや欠損することに因る。その有力な治療法候補が、胎児に対して成人では成人型ヘモグロビン (HbA)に取って代わられてしまう胎児型ヘモグロビン (HbF)の再活性化であり、HbFのレベルが20%まで復活すると治療効果があるとされている。

 前臨床試験や臨床試験では、HbFの発現を抑制する遺伝子 (KLF1BCL11A)のノックダウンと一連の転写因子に対するγ-グロビン遺伝子 (HBG1/2)結合部位の破壊によるHbF再活性化が試みられている。

 U TübingenにU Freiburgが加わった研究グループは今回、ヒトCD34陽性造血幹細胞前駆細胞 (HSPCs)をプラットフォームとして、KLF1のエクソン, BCL11Aのエンハンサー、およびγグロビン遺伝子HBG1/2のプロモーターを標的 [Figure 1参照]とするCRISPR/Cas9遺伝子編集の効果と安全性を、HbFレベルの向上、RNA-seqおよびGUIDE-seqで比較評価した。

 KLF1は、CRISPR/Cas9遺伝子編集が遺伝子発現プロファイルを損なうことから治療標的から外れ、BCL11Aが、HbFの再活性化に最も効果的であり、GUIDE-seqでオフターゲット非検出となり、他の遺伝子発現プロファイルに影響を及ぼさないことから治療標的として最適と判定した。HBG1/2もHbF再活性化の効果を示しオフターゲットも最小限であることから、今後の最適化により治療標的となる可能性が示された。