[出典] "A neutralizing human antibody binds to the N-terminal domain of the Spike protein of SARS-CoV-2" Chi X, Yan R, Zhang J [..] Li J, Zhou Q, Chen W. Science 2020-06-22.

 北京理工大学 (Beijing Institute of Biotechnolog)と西湖大学に清華大学が加わった研究グループは、COVID-19 (SARS-CoV-2感染)から回復した10名 (以下、ドナー)の血漿と末梢血単核細胞 (PBMC)を採取し、SARS-Co-2のスパイクタンパク質 (以下、Sタンパク質)のN末端ドメイン (NTD)に結合する中和抗体 (4A8)を発見した。SARS-CoV-2に対する抗体の殆どは、SのRBDを標的としていることから、4A8は、COVID-19の抗体カクテル療法 [*]の有力な候補分子である。
  • Fig. 2ドナーの検体のB細胞から単離したモノクローナル抗体(mAbs)は、遺伝子構成もエピトープも多様であったが、ほとんどがSタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD)に結合せず、SARS-CoV-2を中和するmAbsが、Sタンパク質のACE2への結合を阻害しなかった [Fig. 2引用右図参照]。
  • 4A8 [図の右矢印]もSタンパク質とACE2の相互作用を阻害しなかったが、SARS-CoV-2に対してもシュードタイプのウイルスに対しても、Sタンパク質のN末端ドメインに結合することで、高い中和能を示した。
  • Fig. 5クライオ電顕法によりSタンパク質と4ABの複合体構造を3.1 Å分解能で [Fig. 5引用右図参照]、Sタンパク質のNTDと4A8の界面の局所構造を3.3 Å分解能で再構成し、4A8の中和能はSタンパク質のコンフォメーション変化の阻害によるとする仮説を提唱した。
  • [構造情報] 7C2L:複合体構造; 界面構造 
[*] 抗体カクテル療法
 Science誌に関連論文2報 [1-2]を発表したRegeneron (リジェネロン) は、抗体カクテル療法REGN-COV2の治験を2020年夏に開始予定と発表し、また、Eli Lilly (イーライリリー)も開発予定の模様

リジェネロン社論文2報

  1. "Antibody cocktail to SARS-CoV-2 spike protein prevents rapid mutational escape seen with individual antibodies" Baum A [..] Kyratsous CA. Science 2020-06-15
  2. "Studies in humanized mice and convalescent humans yield a SARS-CoV-2 antibody cocktail" Hansen J [..] Kyratsous CA. Science 2020-06-15